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SEOBOK/ソボクのsacoのレビュー・感想・評価

SEOBOK/ソボク(2021年製作の映画)
4.0
迫力のあるSFエンタメとしても面白かったが、「永遠の命」を持ったクローン(ソボク パク・ボゴム)と「限りある命」死の恐怖に怯える元情報局エージェント(ギホン コン・ユ)が互いの立場から問う“命”の在り方に考えさせられた。
科学技術の発達と倫理の問題は永遠のテーマだと思う。
アメリカの科学者が言う「死こそが人間を人間たらしめる要素」、逆に言えば、人類が永遠の命を得れば、死の恐怖もなくなり“生きる活力や意味”をも失うと言うことかもしれない。
ソボクが望む“何者かに成れれば命も惜しく無い”に通じるのかなと思った。
そういう哲学的な見方でも楽しめたが、それ以上にアクションや映像も素晴らしかった。
ソボクが海岸で石を積み上げ、波を作り、無数の鳥が空を舞うシーンは、荘厳で神々しさを感じさせる。息を呑む美しさに感動した。
重いテーマを扱いながら、軽いユーモアもあり、無垢なソボクに気持ちが温かくなる。
それだから、なお切なかった。

コン・ユとパク・ボゴムの繊細な演技には本当に魅せられる。
脇を固める俳優もどこかで見た人ばかりで、皆巧くてそれぞれに存在感があり、物語に深みをもたらしていたと思う。

すごく満足しました。
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