継

ウォーデン 消えた死刑囚の継のレビュー・感想・評価

ウォーデン 消えた死刑囚(2019年製作の映画)
4.0
空港建設の為, 立ち退きが決まった刑務所.
所長は新しい刑務所への囚人移送を急ぐが
一人の死刑囚の行方不明が報告される.

同牢の囚人達やソーシャルワーカーの証言などから所外への脱走が不可能と判断した所長は,
完全封鎖した所内の徹底捜索を命令するがその行方は掴めない.

空港建設には一刻の猶予も無く, 解体業者は今や遅しと痺れを切らしている.
所長はこの任務を無事に終えれば出世が約束されており「不手際」は決して許されない。

ー 奴は, 何処に居るのか?


🐸🐶😼
2019年に撮られ, 今年初めに日本公開されたイラン映画。
トボけたユーモアと粋な恋愛をスムーズに織り交ぜながら, どうやら死刑囚が無実の罪に服していた可能性を次第に浮き彫りにしていきます。

サスペンスの影が色濃くなってゆく後半。
種明かしのヒント, その糸口を明かすタイミングが巧く, ソツのない脚本によるストーリー展開には安定感を感じました。
ネタバレは避けますが謎解きは刺し身のツマみたいなもので, 作り手がフォーカスしていくのはそこじゃなくて…, 察して貰えると幸いデス(^o^;)q


出世⚖正義
イスラム革命前の刑務所を舞台としてますが, その時代設定には必然性があまり感じられません。
ただ移転を革命へ置き換えれば, 刑務所はイランという国を, 囚人は市井の人々のメタファーとも読めるわけで, そういう意味では「あの居場所」自体が最大のメタファーなのかも。
“革命が起ころうが我々の(虐げられた)暮らしは以前と変わらない” と仮に作り手が言いたいのだとしたら, この時代設定は必然なものに感じられます。

天秤⚖が傾くハイライト.
恐る恐る覗き見る視点を暖かく見守るように射し込む陽の光りが綺麗で, “こうあってほしい”という未来への願いを感じる,印象的な締め括りでした(^^)
継