夏日

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバーの夏日のネタバレレビュー・内容・結末

3.2

このレビューはネタバレを含みます

「傷ついたものだけが、偉大な指導者となる」


海底の帝国タロカンの国王ネイモアがかっこよかった。空中を蹴るように素早く移動して戦うスタイルが、いままでのアイアンスーツや魔法のマントとはまた違って、スピード感ある空中戦がワクワクした。科学的な武器に頼らず、生まれ持った能力を最大限発揮してる感じもいい。

マヤ神話の至高神「ククルカン」として崇められてるらしいけど、水中で生活できることと、空を飛べることの他にも能力があるのか気になった。戦闘服に着替えて、鮫の口の玉座に座るシーンは威厳があって超かっこよかった。国民を守るためなら他がどうでもいいタイプで、敵としてすごく魅力的だった。

シュリが国を見て回りたいと言って登場するタロカン帝国は、光を発する虫で幻想的な雰囲気もありながら、市場ではたくさんの国民たちが生活していて、活気があってすごく豊かな印象だった。移動手段や衣服など、不思議な文化を見れるのもマーベルならではだし、想像が掻き立てられてワクワクした。

タロカンの戦士たちが不死身なくらい強くてビビった。戦争したらマジで勝てなさそうだけど大丈夫?って思うくらい圧倒された。タロカンのワカンダ侵略は、いきなり増水して津波が押し寄せくる感じがゾッとして怖かったし、破裂するとすごい勢いで水が溢れる爆弾は、水中の種族らしくて面白いと思った。

ネイモア無双もよかった。空中をピョンピョン飛び回って飛行艇をドカドカ落とすし、ミサイルもものともしない強さがかっこいい。けど、ブラックパンサー側に感情移入してたから、どんどん国が壊れていく絶望感がヤバかった。エムバクよ、もっとがんばれ…。

ネイモアの戦闘はすごい好みだったけど、タロカンの幹部っぽい二人は、あまり戦闘シーンが詳しくなくてもっと観たかったなと思った。どんな闘い方をするのか気になる。あとは、人間が戦争に馬や象をつかうように、シャチやクジラなどの海洋生物をつかって進軍するところが海底王国らしくていい。

船上の戦闘シーンは、ワカンダが戦士を船上からロープで吊るして、船の壁面で垂直に立って海からのぼってくるタロカン兵と戦うシーンが面白かった。垂直ならではの動きとか、飛び回るアイアンハートからの視点とか迫力あってワクワクした。

今回の主人公であるシュリは、科学者らしく問題を解決するためにあらゆる手段を講じるが、ティ・チャラの死や強大なタロカン帝国との衝突など、どうにもできない壁にぶつかって悩んでる姿が応援したくなる。

ティ・チャラと対立した反逆者を恨んでいたのに、母を殺されると自分も復讐心でブラックパンサーの力を手に入れるところは、ティ・チャラみたいな気高い主人公もよかったけど、こういう矛盾を抱えて悩みながら強くなる主人公も好き!ってなった。

かけがえのない人が亡くなってしまったとしても、自分の中に生き続けるその人が大切なことに気づかせてくれたり、人生をいい方向に連れて行ってくれたりするのだと思った。そして、少しずつ立ち直って顔を上げたとき、その人が遺していったものを大切にしようと思えた。
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