とみやま

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバーのとみやまのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

チャドウィック・ボーズマンが亡くなって、どういう映画にするのかとても気になってたけれど、キャスト・スタッフたちの追悼する思いと、次の世代(作品)に繋げる姿勢とのバランスが非常に効いていて、とても良かった。彼が亡くなってからの世界の描写は、曲がりなりにもMCUを追って見てる自分にとっても辛く感じるし「そうだよなあ、亡くなってからの今作だもんなあ…」っていろいろと考えてしまう…。
でも、「これ以上追悼を強くし過ぎると、ファンムービーになりすぎる」という線引きを超えることなく作品を成立させて、MCUの商業映画であるからには次の作品に繋げないと、という職人技としか言えない仕事をきっちりこなすライアン・クーグラー、すごいな…と驚いているうち映画が終わってしまった。

物語には「んん?」と思うことは所々あって。大きくつまずいてしまったのは、ワカンダ側が王女のシュリを助けるために、タロカンの民をひとり殺してしまうシーン。シュリは死にかけている彼女を助けようするも、スパイの人に無理やり連れ戻される。「どうしてこんなことするの!?」みたいな展開になると思いきや、次のシーンには、シュリが母とめっちゃ感動の再会みたいになってしまう。今までの積み重ねが何もなかったかのようにするのは、ワカンダの加害性を強調する狙いかもしれないけど、加害となった親子関係は、単純に再会を喜ぶポジティブなニュアンスしか言及されない。「それどうなの?」みたいな視点は後にも出てこないのがイビツだと思う。穿った見方なのかもしれないけど、それ以降、引っかかるところがちょくちょく増えて「すごい面白い!」とはなれなかった。
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