三樹夫

地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガンの三樹夫のネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

ゴキブリ星人(M宇宙ハンター星雲人)は人類の行く末かもしれないということが暗示され(暗と言っていいのか、劇中何回も繰り返されるが)、つまりあるかもしれない人類のバッドエンドがあのゴキブリ星人。
売れない漫画家が、子供ランドを建設中の怪しい匂いプンプンの企業にちょくちょく通っていると、入り口で女の子(超絶ミニスカ)とぶつかり、女の子が落としたテープを拾って謎に迫っていくというのが本編約90分あるうちの30分ぐらい。平和だのなんだのをほざく野郎は信用できない、というのをガキの脳みそに叩き込む意図があったのかどうかは知らないが、平和だの愛だのキザな言葉を、そういう言葉に対して一歩引いたところから何も考えもせずに、平気でほざける野郎は信用できないと、私も強く主張しておきたい。
残りの60分ぐらいはひたすらゴジラ&アンギラ組とキングギドラ&ガイガン組の怪獣プロレスが続く。特監が中野昭慶なのでドッカンドッカン爆発してましたな。ゴジラ&アンギラ組と書いたが、アンギラスはゴジラの舎弟みたいになっていた。そしてガイガンの腹の電ノコを上手く使って、ゴジラの血がビュービュー飛び出るスプラッター。まあ子連れ狼も東宝が配給してるし。
後、セブンのアンヌが空手が得意なキャラ役で出演。

この映画の色んな意味で目を引くのが、ゴジラとアンギラスの吹き出しによる会話だと思うが、これはサービス精神があらぬ方向へ行っちゃった結果だと思うんですよね。怪獣大戦争でゴジラがシェーしていたのも、円谷英二のとにかく子供に喜んで貰いたいというサービス精神からで(実際に劇場に来ていた子供に大受けだったらしい)、でもこれやるとゴジラの擬人化につながって怖くなくなるんだよね、つまりゴジラのアイドル化。子供に受けるんだけど結局は支持を失っていく。ここに怪獣とは何か、何を求めて怪獣を観に行くのかというのがあると思っていて、ゴジラ可愛い~とか、ゴジラは絶対に倒さなければならないとかのモチベーションで怪獣映画を何回も観れんでしょ。結局は絵空事で、俺には関係ないわってなもんだし。怪獣映画が必要な人というのは、普段からこの街ぶっ壊してやりてぇと怨念抱いてるような人(子供も含む)で、そういう人が怪獣映画観て、怨念の結晶のような怪獣が街を粉々に破壊している時にリアリティが生まれて(普段から考えていることが映像化されてるわけだから)、それが怪獣映画との良好な関係だと思うのだが、商業としてマスの方にも目を向けなきゃいけんというバランスが難しいね。
今作品でも怪獣総進撃の怪獣ランドのように、怪獣牧場の如く、子供ランドというのが登場するが、これも怪獣の家畜化なんだよね。怪獣が人間のコントロール下に入っていて、つまり人間は怪獣をコントロール下におさめることができる、人間を頂点としたピラミッドの下に怪獣がいるということになってしまうわけで、怪獣の矮小化につながる。怪獣は魅力は、人間の手に負えない、それぐらいの存在ということにある。
EDの歌も完全にゴジラはヒーローであるという歌で、そうじゃないだろ感満載であった。
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