紫

ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコの紫のネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

Filmarks 試写会にて鑑賞.

イギリスのイラストレーター、ルイス・ウェインの人生を描いた「真実の物語」と序盤に記されている.

彼の事を良く知らない方や特に猫好きの方にはおすすめしたい本作品.

彼はヴィクトリア朝時代に活躍した人物で、当時としては珍しかった、猫をテーマにした作品を多く残し、猫を愛する人々の地位を確立させた人物.

父を早くに亡くし、一家で唯一の男性として、5人の妹と母を支えるルイス. 家族のために必死に働き続ける彼の姿を観て、思わず同情してしまった.

妹たちの家庭教師としてやってきた、後々妻となるエミリーとの出会い、恋、結婚するまでの道のりはとんとん拍子に進み、観ていて飽きなかった.

しかし、愛する妻と愛猫「ピーター」を相次いで亡くし、悲しみに暮れるルイス.
彼の愛らしい猫の絵は、徐々にサイケデリックな猫の絵に変わり、彼の心病を映しているようだった.
精神病を発症したルイスは晩年、精神病院で余生を過ごす.

妻エミリーが亡くなる前に「どんなに悲しくても描き続けて」と彼に伝えるが、これれ元々人として不器用だった彼が孤立しないようにする為だったのだと、作中終盤で知る.

作中で所々、ルイスが「電気(Electrical)」について熱弁する場面や、幾何学模様のような不思議なシーンが幾つか登場して、当初は鑑賞していてよく理解できなかった.
しかし、“電気=愛”を求めており、幾何学模様のシーンは彼の頭の中に流れている、電流のような天才の中身を表現しているのだと、私なりに解釈をした.

どこを切り取っても絵本や絵画になるような、観ていて癒される映像美だった.

そして、ルイスの風変わりで不器用な人物像を演じたベネディクト・カンバーバッチはとても素晴らしかった.
紫