ジョン・トラボルタが演じるムースは、ホラー/アクション映画の大ファンで、ハリウッド大通りでストリート・パフォーマーをしながら生活している。自閉症を患っているせいで他のヤクザなストリート・パフォーマーたちにいじめられたりするが、パパラッチを生業とするリアとはBFF(ベスト・フレンズ・フォーエバー:親友)だ。
ある日、行きつけの映画ファン・メモラビリアの店で、アクション・スター、ハンター・ダンバーのサイン会があり、ダンバーの熱狂的なファンであるムースは、有り金はたいてダンバーのメモラビリアを買って行くのだが、サインするのを拒否されたことから、ますますダンバーに執着するようになり、危険なストーカーと化していく。
人気スターの素顔、パパラッチの生態、有象無象にいるであろうハリウッドの底辺のパフォーマーたちなどを赤裸々に描いているのだろうな、というところがすっごく興味深いのですが、映画としてはイマイチです。
面白いのはこの映画、映画会社が出資しているのですが、同時にRed Box という会社も出資しています。Red Box って、アメリカでスーパーに「DVDの自動販売機」みたいなものを置いているレンタル会社で、ブロックバスター映画も置いてあるのですが、自社制作ではB級以下映画ばかりだと映画レビューサイトの人が言ってました。最近ではストリーミングもやっているようなのですが、そこの投稿者の感想があまりにもバカ過ぎて、このユーチューバーの人が自分のチャンネルで紹介していて爆笑しました。
監督はなんとリンプ・ビスキットのヴォーカリスト、フレッド・ダーストで、履歴を見ると映画出演・監督作もいくつかあり、ラズベリー賞受賞経験もあります(笑)
映画の中でも、アクション・スターのハンターが、息子を学校に送っていく場面で、「リンプ・ビスキット聴くか?サイコーだよな!当時は良く聴いたもんだ!」とかやたら言ってて、「なんだ?」と思っていたけど、そーだったのか〜。
このハンターのキャラが、すっごくゲス野郎に描かれていて、イメージとしてはメル・ギブソンが浮かんできました(笑)。ムースはただサインが欲しいだけなのに、すごいキツイ態度で断り続ける。
ムースの「自閉症」の描き方が正しいのか定かではないのですが、知的障害があるように描かれていて、子供のようにハンターに憧れ、サインを拒否されると子供のように執着し始める。
パパラッチをしているカメラマン(ウーマン)のリアは、ムースがハンターに直接手紙を届けようとしていることを知らずに、パパラッチが使っている「セレブの家がわかるアプリ」を教えちゃうのですが、ハリウッドってこういうところなんだなあ〜と思った。『ブリング・リング』でも、セレブの家ってすぐ分かっちゃうみたいだったからなあ。
こういう状況で暮らしていたら、ハンターがファンに対してキツイのもわかる。ハンターにしてみたら、ムースの存在は怖いと思うし、それにアクション・スターやっている人が、実生活では優しく謙虚な人だと期待するのも、まあ、そうあって欲しいですが、みんな仙人ではないのでね。
あと、ハリウッド大通りのストリート・パフォーマーたちが、パフォーマンスに集まって来たツーリストからスリをする、ギャング団のようになっていて、ムースはそれに誘われても絶対参加しないで、「君たちはハリウッドを冒涜している!ボクはハリウッドを尊敬しているんだ!」って言うと「コイツらは人間じゃねえ、ツーリストだ!」なんて言うんだけど、きっと本当にこんな気持ちで働いているのかなあ、とハリウッドの闇が垣間見える。
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