円柱野郎

劇場版 SHIROBAKOの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

劇場版 SHIROBAKO(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

2014年から15年にかけて放送された同名TVアニメーションの劇場版。
TV版で描かれた日々から4年。
アニメスタジオの武蔵野アニメーション(ムサニ)はかつての活気をを失っていたが…。

アニメ制作会社が舞台の業界モノで、しかも主人公・宮森が制作というのが面白かったTV版。
あれから時が経ち「いったい何があったんだ!?」と思わせるようなムサニの状況から始まるわけだけど、冒頭はややスローな感じで話が始まる気はするものの、4年の間にあったあれこれを観客に察しさせながら登場キャラクターを思い出させてくれる流れは悪くない。
話の大枠として「かつての仲間を集めて難題に立ち向かう」という王道展開なので話にも入り込みやすいよね。
ただアニメ業界に関する説明や人間関係についてはTV版鑑賞済みがありきの話だし、やっぱりこの映画しか観ない人にはとっつきにくい感はあるかもですが。

宮森が「なぜ今の仕事をしているのか…」という自問から仕事への熱意へと転換されていく展開は熱い。
翻って自分に当てはめた時、全く業種の違う話だけど、今の自分は仕事に対してそういう気持ちを持っているのだろうかということを考えさせられもしたなあ…。
とにかく、宮森の前向きな情熱と周囲を巻き込んで話を進めていく姿は、やっぱり応援したくなってしまうよね。
そしてこの「巻き込む」姿は決して独りよがりな感じがしないし、イヤミのないところも、宮森のキャラクターとして良いところだと思うのです。

何度か挟まるミュージカルシーンはご愛敬。
ちょっと流れを止めてる?と思った瞬間もあったけど、まあ宮森の脳内を映し出しているものなので、ナシではないか。

最終的に困難を乗り越えて作品を完成させたムサニ。
それでも宮森の話は終わらない。
仕事というのはいつまでも「俺たちの戦いはこれからだ」なのだというラストは、ある種の理想像でしかないかもしれないけど、そういう姿勢を忘れかけていたおっさんにはとてもまぶしく見えてしまいました。
円柱野郎

円柱野郎