Bluegene

マザーレス・ブルックリンのBluegeneのネタバレレビュー・内容・結末

マザーレス・ブルックリン(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

フランクの帽子に(文字通り)鍵があるのは最初から見当がつくのでミステリーとしては今ひとつだが、キャラクター造形はそれを補って余りある。主人公はもちろん、マイルス・デイヴィスがモデルと思しきジャズ・ミュージシャン(ザ・ワイヤーやボードウォーク・エンパイアでお馴染みのマイケル・ケネス・ウィリアムスが好演)や、トランプの物真似で有名なアレック・ボールドウィン演じるモーゼス・ランドルフは秀逸。特にボールドウィンはぜったいトランプを意識してたと思うw

ランドルフの秘密、現代の感覚だと「人を殺すほどか?」と思うけれど、1957年、つまり公民権運動真っ盛りの時代に、黒人嫌いで知られる白人の権力者が黒人女性をレイプして私生児を産ませたことが明るみに出れば、失脚するのに十分なスキャンダルだっただろう。

この作品の隠れた主人公はニューヨーク。エドワード・ノートンはこの街の魅力を知り尽くしているようだ。特に橋の使い方が素晴らしい。ランドルフに「この橋もあの橋もオレが掛けた」と言わせているが、ノートン自身の思い入れを感じる。

140分という長尺の割には明かされた秘密も大したことはなく、ミステリーとして見ると高くは評価できないが、トゥレット症候群という障害を演じたノートンの力量や、往年のフィルム・ノワールを彷彿とさせる雰囲気、BGMの効果的な使い方など、映画としての完成度は驚くほど高かった。
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