Matthew

街の上でのMatthewのレビュー・感想・評価

街の上で(2019年製作の映画)
5.0
下北での青春群像劇

映画の無料券が5末で失効につき、上映時間が合った本作品を何の気無しに見ましたが、めっっちゃ良かったです。130分とは思えないくらい一瞬で、展開も現実みたいなもどかしさが続いて良い意味で映画らしくなく。あるよね、桜といったら吉野みたいなパターン。そんな出会い方しちゃったらロマンス始まるでしょ、みたいな。もうそのリアクションは僕のこと好きじゃん、みたいな。でも実際はそんなことなかったり、逆張りしてたら本当だったり。結局、街の上で、それぞれの人のそれぞれの生活があって、それが偶然重なったりしなかったりの繰り返しの日々なだけなんですよね。長回しを効果的に使って、そういう日々を切り抜いたようなカットの数々。そしてイハちゃんの家では1カットであの余白のあるシーンは凄いし、友達の話を聞いてるような感覚になって、気づくと自分も下北の住人の一人になってました。そして所々に笑いどころがあって、全部クスリとしてしまいました。特に終盤の朝のシーンはずっとニヤニヤしっぱなしでした。あの絶妙に白けそうで白けない、絶妙な間とトーン。最高にわらいました。ラッフィングガス吸いながらもう一度観たい。

大学生時代のことを思い出して嬉しくなりました。大学生の時は毎日誰かの家に入り浸ってどうでも良い会話をして、適当に遊んで、気まぐれにご飯食べて。そんな阿呆な話をしていても、一生懸命勉強してても、ラブロマンスしても、嫌々働いてても、思いっきり遊んでも、日々はあっという間に過ぎて行き、そんな大学生活を後悔したりもしました。でもあの京都の街も、僕の思い出も変わらずに残ってるし、誰も見ることはないけど、確かここに存在しているのです。それだけでもう十分肯定されて嬉しいんです。

オープニングのメロウなUKロックっぽいリフ、GEZANのエンドロール、チーズケーキの唄とサウンドがどれも愛しい。あとはイハちゃんに恋しましたが、タバコの女性が一番綺麗でした。雪ちゃんの「馬鹿」もたまらない。一緒に撮影大会付き合ってくれる冬子も捨てられない。ただのDDです。もう本当に良かったので、久しぶりにパンフレット買っちゃったし、なんならシャツも買ったよね。そして挙げ句の果てにギターを練習し始めました。

チーズケーキの唄、本当にかっこいい。弾き語りの持ち曲にしました。

意味のない味のチーズケーキ
君のいない街のおれ
待つ辛さをこの苦さで
紛らわしている

PS. 3回目見ました。最後の終わり方が好きすぎる。タバコ取っとくの可愛い、わかる。そしてそのタバコがまた次の話を引き起こすようで起こさないような緩い感じ、愛しい。
Matthew

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