東朴幕院

アフター・ヤンの東朴幕院のレビュー・感想・評価

アフター・ヤン(2021年製作の映画)
3.8
静のオープニングからの本作品中、最大の動の場面で近未来SFとしての世界観や家族の絆具合をさらっと見せてしまうのが秀逸。
その後はテクノ言われる人型アンドロイドが故障してコリン・ファレル演じる父親がひたすら修理先や方法を探っていくストーリー。しかしながら、その探る過程でヤンを思い出して思いに耽るシーン、更には取り出されたメモリーから読み込んだヤンの記憶を見るシーンは、まるで失くした長男の思い出すかの様な優しさがある。そして観客もそれにひっぱらる事で自らの喪失を思い出したに違いない。本作品は、そういう事も狙ったものだと、私はその狙いの通りになった…。
そしてやがてヤンには親しくしていた女型のテクノが居た事を知る訳で、ヤンも実は喪失感を無意識に感じていたのだろうと思わせる所は印象的な展開であったね。
記憶の中でリピートされる曲も好きな感じ。
家族の喪失、残される者の思いを描いた佳作だ。
中国茶の哲学の語りも効果的であったと好感。
東朴幕院

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