じぇれ

mellowのじぇれのレビュー・感想・評価

mellow(2020年製作の映画)
3.5
【想いを伝えるということ】

お客様一人一人に丁寧に寄り添う花屋を起点に交差していく人々の想い。

今泉力哉監督らしい優しい眼差しが心地よい小品。一見変人に見える人々も、みな彼らなりに一所懸命生きており、クスクス笑いながら彼らを愛おしく感じてしまいます。

基本は恋愛ドラマでありながらも、「想いを伝えるかどうか」というテーマで恋愛以外の想いも扱っているのが好印象。仕事や人間関係に疲れた時に、本作で癒されて下さい。

……なのですが、少し物足りなかったのも事実。プロットが単調なんですよね。聞けば、最近の今泉力哉監督は沢山の映画やドラマを抱えて大忙しとのこと。なるほど。本作に第1稿(かどうかは知りませんが)的な粗さを感じてしまうのは、脚本を練る時間が足りないからなのかもしれません。

今泉力哉監督は間違いなく日本映画界期待の新鋭。プロデューサーには「令和の岩井俊二として私が今泉を育てる」ぐらいの気概を持って、お金と時間を与えてほしいものです。『パンバス』が上手くいったから同程度の予算で手堅く儲けるって考えではなく、10倍の予算で100倍の成果を上げるぐらい目標は大きく。次作は、海外市場も視野に入れた、練りに練った作品をお願いします。
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