くう

ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男のくうのレビュー・感想・評価

4.0
巨大企業が恐れた男』1998年、企業弁護士である主人公の元に一件の廃棄物汚染調査依頼が持ち込まれる。

大企業デュポン社による、テフロンフライパンに代表される有害物質"PFOA"、現代まで続くその害による保障を巡る闘い。息を飲んで見続ける。

企業に寄り添って来た弁護士事務所が、国民を裏切った企業に立ち向かう決意をするその心意気、ワクワクした。

でも…大企業ってほんと、ビクともしないもんなんだなぁ。私たちも数多くの隠蔽を知らずに暮らしているんだろうな。

家庭の食卓を守る身として、こんな話をあまりよく知らずにいたことを恥じたい。そして多くの方に見てほしい。

けれど、エンタメ要素皆無だし、上映劇場が少なすぎて…

他のユーザーの感想・評価

記録

『エデンより彼方に』(2002)、『キャロル』(2015)のトッド・ヘインズ監督作品。彼は、クラシカルで技巧的な映画を撮るのが、特徴。

その、技巧派でメロドラマ派のトッド・ヘインズ監督が、アメリカの環境汚染を扱った【実話】の映画を撮った。という事で、違和感を覚え、何か重大な事柄を扱っているのかと思い、鑑賞。

怖い



その重大な事柄



【周知したいので、ここからネタバレ】


 




●フライパンとかに使われている、テフロン(PFOA、C8)は、ガン発生、奇形児誘発など、人体に、恐ろしい悪影響を与えるという事。

●デュポン社は、テフロンの危険に気がついており、逆に科学者を含む社員たち
に、テフロンを含んだタバコで、人体実験を繰り返していた事。

●デュポン社は、テフロンの廃液を、そのまま川に垂れ流していた事。

●アメリカでは、テフロン以外の疑わしい600種類の物質を、現在調査中で、生産は止められていない事。


テフロン加工のフライパンは、オイラも日々使っているので、リアルで怖いわ。
通販でも、普通にテフロンのフライパンの宣伝をしているし。
他の素材のフライパン買いに行かないと。

あと、タイトルが、『ダーク・ウォーターズ』と複数形になっているのが、怖い、巨大企業で様々な害悪が成されているのだよなぁ。多分、当然。

娯楽映画、芸術映画だけにかまけてないで、時には、社会派やドキュメンタリーの映画を観て、賢くならないと、と強く自戒したよ。
sasha2022

sasha2022の感想・評価

4.3
夢中で見入ってしまった!アメリカの実話に基づいた公害クライム。どこでも起きうる恐怖。地球上の生物の99%が保有しているとされる謎の規制外物質"PFOA"を巡る生死をかけた攻防戦。全てを叩き潰す巨大権力に対する陰鬱で長すぎる闘い。国民の健康を危険に晒しながら政府に守られる企業。弁護士事務所でさえも巨大企業の説明責任を回避するための鎧でしかない。悪習が悪習を呼ぶ根深い陰謀の闇に切り込む勇気を誰が持てるのか?自らのクライアントを訴えなければならない難しい立場になったロブの葛藤。あの手この手で可能性を潰されて金銭的にも精神的にも極限状態に陥りながら、正しいことを選んだ彼の勇気が、"やっぱり誰かが行動しなきゃ変わらない"を教えてくれる。
公害ってみんなに影響が及ぶ可能性あるからデュポンのCEOもその家族でさえも他人事にできないはずなんだけど、守らなきゃいけないものが大きすぎると人間血が凍っちゃうんだろうか。巨大権力は嘘をつくから自分の身は自分たちで守るしかないってこと。それにしてもこんだけの犠牲払っておいてデュポンがあまりにも軽傷で済んでるのが居た堪れない😞アメリカの土地勘ないからウエストバージニアいじりが気になる。。WV出身ってルーザーなの?!
マーク・ラファロプロデュース主演による米内部告発もの。しかも原作なし、映画オリジナル。これ闇が深すぎて製作も怖いよな。米と書いてますが、問題のPFOAは世界規模。もちろん日本も…

少し前にカンバーバッチが『モーリタニアン』をプロデュース主演してたし、2人はリアルでもアベンジャーズしてる。
散歩

散歩の感想・評価

4.3
トッド・ヘインズ監督で物語の中に社会問題を組み込んだ映画はあったけど実話ベースでここまでシリアスって初めて見たしマーク・ラファロは製作にも関わっていたりと力の入った作品でしたね。権威や歴史が市民に与える信頼「あんないい会社(あるいは人)が悪いことをするはずがない」という思い込みの恐ろしさや国のシステムがいかに大企業に都合よくできているのかという悪性、そして「時間」が誰に対して有利に働くのかという事をこれでもかというほどに見せてくれる本当に重く苦しい作品でした。でも、主人公が最初は企業側の人間であることから始まる事や徐々に真実が分かっていく様子がテンポよく描かれていてドラマとしてとても観やすく面白かったです。劇中でも市民の感情に触れる重要性が語られていましたが、「面白い」ということは改めて重要だなって思いました。主張だけが先走った説教くさい作品ってやっぱり敬遠されてしまうので、ね。劇的な何かやショッキングなシーンがある訳ではないですが(でもちょっとした言葉や状況が恐い)、何が他人事で何がそうではないかくらいは知っておくためにも観た方が良い映画でした。日本にとってはより切実に感じる作品なのかも知れない。果たして声を上げることは出来るのか、声を拾ってくれる人は現れるのか、法は正しく機能するのか・・・今の所は「う~ん…。」ですね。
6060

6060の感想・評価

3.8
超巨大企業に屈服しない
主人公への家族の理解。
製作者の社会への根幹の
信頼に背筋がのびる思い。
けろえ

けろえの感想・評価

4.4
副題不要。なんかちょっと違う。

とてもよくできた骨太の社会派ドラマ。マーク・ラファロが凄腕ではなく、ごく普通の弁護士というのが、観ている人の共感を呼ぶ。彼はちっとも強くないんだけど、その誠実さで巨大な力に立ち向かっていく。

今も現在進行形で、自分の知らないところで同じような事が起きているのだろう。それは紛れもない事実であり、その怖さを知ってしまった。知らず知らずのうちに毒を摂取しているのかもしれない。

ティム・ロビンスやビル・プルマン、トシとったけどかっこいいな。アン・ハサウェイが劇中で年を追うごとに若返ってくのが、ちょっと気になりました(笑)
somal

somalの感想・評価

4.0
月曜日なのにそこそこお客さんが入っていました。

デュポン社が起こした大規模な健康被害とその顛末を描いた作品で、前半は健康被害の原因を突き止めるまで、後半は訴訟の行方が描かれます。

主演のマーク・ラファロは製作にも加わっていて、人々のために真実を明らかにし、権力に抗うという構図は彼が主演する『スポットライト』と重なりました。

『インサイダー』等もそうでしたが、実際の企業名を使ってこんな作品を作ってしまうアメリカってなんだかんだ言われながらも凄いなと。

一番驚いたのはエンドロール。
是非、その目で確認してみてください。
そんなに昔でもない過去に
世界でも有名な大手企業が
撒き散らした環境汚染…。

題材が身近過ぎて怖かったです。
今や誰もが使っている物ですし
今も解決していない問題で。

企業を相手取って裁判を起こすと
こんなに長引くのだなと知り。
様々な邪魔や嫌がらせも多く
受けるのも本当に怖いでしょうね。

ずっとゾワゾワしながら観てました。
途中のとあるシーンと エンドロールには
声が出る位 凄く驚きました…。
水質汚染を隠蔽する巨大企業の闇に迫る弁護士
化学と裁判の話なので少し難しいなぁと思っていたらラストに驚愕
実話だと知らずに観てたのでショッキングでした
下手なホラー映画よりも怖いです、、
かなり重い空気が個人的には辛かった💦

ハルクとワンダーウーマンが家族として過ごしているのがなんだかよかったです。
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