はまたに

羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来のはまたにのレビュー・感想・評価

4.6
思った以上に呪術廻戦な中華アニメの現在地。

無限様が列車で活躍するので無限列車とも言えるんだけど、鬼滅の刃ってよりは呪術廻戦なのな。

妖精と呪術師、人間と共生派と人間滅すべし派、能力と呪術、その中では絶対に勝てぬ領域と領界。あと無限様と五条先生、シャオヘイと虎杖など似てんなぁポイント多し。てことは、日本のアニメ・マンガ鑑賞の土台があれば全く違和感なく設定に入っていけるということ。

絵は背景が美麗、キャラクターはのっぺり丸っこくという印象。のぺっとしてるとシャオヘイとかの可愛らしさやギャグシーンとは抜群の相性を見せる反面、怖そうなやつが怖く見えない、強そうなやつが強く見えないというジレンマもあるんだけど、バトルシーンの動きの派手さ、多彩さ、スピード感がそれを補っている。
(し、暴力的に見えすぎないところが妖精の能力は破壊の意思や悪意から出るものではないことの暗喩にもなっていると思う)

物語の進行にはかなり細かく笑いが散りばめられているんだけど、この効果はテキメンで、単純にクスッと笑えて楽しい、語りにテンポ感が出る、ということに加えてクライマックスで道中のあらゆることが回想されるシーンではそうした他愛のないやりとり、日常の積み重ねが強い絆へと昇華される(それは覚醒のトリガーとして最も説得力があるものだ)。

自分に置き換えてみても、旅行みたいな大それたイベントじゃなく、とある日のちょっとした出来事で笑いあったことが幼少期の思い出の中心にあったりするしね。「あんたみんなで〇〇行ったん覚えとらんのな!?」「ぜんぜん覚えとらんわ〜」で親の心子知らずかますこともあるけど、まあそんなもんでしょ!

長くなりすぎたわ。
結論、めっちゃ面白かったです!(雑)


・ここからその他の雑感

終盤でいろんな能力の妖精がパパッと出てきたのを見て「さては原作があるな?」と思ったんだけど、あるみたいなので嬉しい(むしろ劇場版の本作のほうが本編の前日譚だそう)。

シャオヘイ、本当の師匠が誰か気づいたってよりそもそも人にほだされやすい性質なのでは説(文字通り一宿一飯の風息にあそこまで情が湧くとはあやしいやつめ)。

中国のアニメ・マンガ界では最強キャラ=哪吒と相場が決まってるっぽいの笑えた。本人そのレッテルに辟易してるところも含めて。

よくよく考えたら中国なんてマンガ・アニメ向きなリソースいくらでも持ってんよなーと思ったり。三国志やキングダム、西遊記、封神演義みたいな日本でもコンテンツ化されてるもの以外にも民話や伝承は腐るほどありそう。オリジナル作品も含めて中国の二次元創作界、これから強くなるだろうな〜。

世界で最も環境破壊しまくってる頃の日本でナウシカとかぽんぽこが生まれたように、今世界で最も自然に負荷をかけている中国でこうした視点の作品が生まれるのはさもありなんと思った。単純に物語のプロットとしてわかりやすく使いやすかったからかもしれないけど。

そんな感じかな。
じゃ、サイツェン!
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