ずどこんちょ

約束のネバーランドのずどこんちょのレビュー・感想・評価

約束のネバーランド(2020年製作の映画)
2.4
漫画、この刺激的な設定から少年誌にしてはかなりインパクトが大きくて話題性バツグンでしたよね。とはいえ、自分は原作未読です。
実写化と聞いたときは驚きましたし、実際、6歳ぐらい年の差がある浜辺美波と城桧吏が同い年役と聞いたときはもっと驚きました。

ある程度、この育児院の秘密については以前から知っていたのですが、やはり実際に実写で目の当たりにすると、たとえフィクションでもショッキングではあります。
未来を夢見て旅立つ瞬間だからこそ、その未来の道が絶たれるというのは目も当てられません。物語は、施設にいる子供たちがこの秘密を知ってしまうところから始まるのです。
養育、いや管理しながら監視していたママやシスターの目を盗みながら、子供たちは施設からの脱走計画を企てるのです。

要するに、信用置けない大人vs子供たちの知能戦です。
北川景子や渡辺直美が演じる管理者側の大人の目は鋭くて、子供たちの怪しい挙動を見逃すまいと凍てつく目で捉えます。二人とも目の演技が素晴らしくて、心の奥底を見透かされるようで大人が見ても怖いです。渡辺直美は怪しさをまといながらも笑わせにきてるなとニヤニヤしてしまいました。
一方の北川景子はすごい。常に冷徹に子供たちを管理していて、微笑みながらも腹に一物抱えている感じを醸し出しています。
そればかりでなく、ラストで明らかにされるのは管理者としてのママ以外の顔。本当のママとしての顔です。
途中、「演技を抜きにして本音で話せるわね」とエマ達に語りかけるシーンもありましたが、冷徹な仮面が剥がれたラストの顔が本当の顔だったのだと感じました。
もしかすると、彼女がずっと胸に抱いていた思いはこっちだったのかもしれません。

ダークなSF設定であり、更に原作では本作以上の世界観の広がりがあるゆえに、時間内にこの世界の設定を伝えたいのも分かりますが、どうしても説明口調のセリフが多かったのは気になりました。そんな事まで詳細に教えてくれるんだ、と思ったり。
また、性格に一癖あるレイを演じた城桧吏の表現力も少々気になりました。「万引き家族」の時は気にならなかったので、今回だけは役に合わなかったのかもしれません。

彼らの選んだ道、その道の先が気になります。漫画も読んでみようかな、などと思ったり。
事前情報になかった有名俳優2人の出演は驚かされました。こういうサプライズは大好きです。