バリカタ

返校 言葉が消えた日のバリカタのネタバレレビュー・内容・結末

返校 言葉が消えた日(2019年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

本作はどんな味付けを目指したのかなー?
予告編を見たときはこのような作品ではなく、独裁政権下の台湾の生徒達が自由と希望を求める社会派のヒューマンドラマなのかなぁ?と。まぁそのエッセンスもあると言えばありますが、あくまでもそれは「物語の舞台」であって、サスペンスホラーの味がメインかな?なんて思ってたら本作はゲームの映画化なんですね。ふむ、ちと無理な感じが。でも、ゲームは存じ上げませんが。

まず、巧みな構成力と表現の多さ、それらを形にするための実現力、資金力(だろうなぁ)に驚きです。色んな意味で贅沢を感じる作品でした。1シーンの作り込みにかなりの労力を割いていますね。雰囲気ありますよ。で、ストーリーでサスペンスやホラーを作ると言うことではなく、表現と構成力でその演出を作ってるのはすごいですね。
ただ、ストーリーがシンプルが故に、演出でこねくり回している感じがあるんですね。妙にややこしくしているとか、時間軸を混乱させるとか、視点を変えるとか、イメージの具現化をバンバン描いて、事実ではないことで怖がらせようという「ホラー演出のみ」感を強く感じてしまったのです。

例えとしては外れてる気がしますが、シン・エヴァのマイナス宇宙展開が、終始続いている感じなんですね。「さまざまな怖さの記憶」を演出に用いて、すっごくお金と手間かけて比喩・暗喩・イメージなどの表現をしてるように見えるのです。じゃぁ、ストーリーは?って思うとかなりチープなんですね。こんな結末なら独裁政権下の自由云々なんて背景いらなかったじゃん!と。厨二が原因やん!と。

思いっきり統制されている時代にこの厨二理由ないわぁ。え?結局お前らの淡くて偏重した恋心が全ての命奪ってんのかい!と当時の辛い思いをされていた方々、命懸けで取り組んでいた人たちへの冒涜と違う?よくそんな軽々しいことできるなぁ・・・って、物語の核がわかってからの僕の気持ちの引き潮の速さたるや。スーーーーーーです。
こんな厨二に振り回される話なら、この題材である必要なかったやん。若気の至りを思いっきり超えています。

結局。サスペンスに見えるけど、怖がらせる目的で作られたモンタージュ描写の連続で目をくらましてるにすぎないと思いますし、話がチープすぎるので一気に安っぽく見えてしまいました。
最後は郷ひろみかよ!と心で突っ込んでる自分もいましたし。正直、気持ち悪かった。お前ら、なんなん?と。

とにかく観賞後は「あー、つかれた。」です。
比喩や例えが多すぎて、話が長い人と会ってた気分ですね。

金と時間を潤沢にかけられるのも問題だな、と思った残念作でした。