Busceo

野球少女のBusceoのレビュー・感想・評価

野球少女(2019年製作の映画)
3.4
韓国の高校野球事情は知らんがプロ入りする捕手がいる野球部の練習があんな感じなの?とか女子とはいえあそこまでチームメイト感ないの?て感じなのを始めとして「野球」についての描写はかなり杜撰なんだけど、この映画のテーマは野球がどうのではなく「女だからどうせ無理」「いつまでも好きなことに固執せず諦めて働け」と言う圧力に抗うということ。その辺の母親世代との対立の描き方はナックルじゃなくてストレートでした。

ただ、いくら野球のリアリティに目を瞑ると言っても、もう少しなんとかならんかったのかなとは思ってしまうし、ジェンダー論的なテーマも他の映画と比べて特筆すべきところもないのでツッコミどころばかり気になってしまうところはあったなあ。トランスジェンダーの選手が性転換して無双することの是非が問題になっているこの時期に、フィジカルの差が際立ってしまうプロスポーツでこういうテーマを扱うならリアリズムから逃げてはいかんよな。

あとこれ難しいとこなんだけど、少なくともこの映画に関しては、「男子だったら当たり前のように諦めなくてはいけないところを女子だから続けることができている」という側面もあるんだよな。もちろんだからダメというわけではなく、だからこそすべての人が納得できるまでやりたいことをやれる世界になって欲しいとは思うが、それを支えなくてはならない親世代の大変さを考えるとまた色々難しいですね…。

ちなみに18歳であの体の小ささ、薄さに関わらずストレートは130キロ中盤、制球力があり、ナックルとスライダーを投げられるなら日本なら間違いなくドラフトで複数球団上位競合、ヤクルトスワローズなら即戦力でローテーション入り間違いなしですね。グッズの売り上げも相当見込めるので契約金は5000万ぐらいいくのでは。
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