ホンのシネマ

ブータン 山の教室のホンのシネマのレビュー・感想・評価

ブータン 山の教室(2019年製作の映画)
3.8
ブータンの今時の若者ウゲンが、教師としてブータンの中でも僻地のルナナという山奥の学校に派遣され、子供たちや村の人との交流を通じて成長する……という感じのお話です。
簡単に言ってしまうとそんな感じのお話なんですが、ブータンの美しい風景と、純粋な子供たちの反応、象徴的に扱われる「ヤク飼いの歌」など、全てが純粋で美しく、観ているだけで心が浄化されていくような作品でした。

世界中で一番幸せな、幸福度の高い国と知られるブータン。
私のイメージは国中が全て子のルナナのような村のイメージだったんだけど、最初出てくるブータンの首都ティンプーは結構な都会。
主人公ウゲンは、オーストラリアで歌手になることを夢見ている青年。
教師だけどめちゃくちゃやる気ない。
いつでもヘッドフォンつけてるし、スマホいじってるし、なんとも今風。
それは、赴任先のルナナに向かう道(トレッキングで8日もかかる険しい道のり)でもヘッドフォンつけっぱなしで、初対面の案内人との食事中もスマホいじってるという態度の悪さ。
そんな彼が、だんだん変わっていく様子が丁寧に描かれていて、観ているうちに自分も浄化されていく気がするのです。

ルナナでの子供たちとの交流は、意味なく涙ぐんでしまうほど素敵なものでした。
ペン・ザムちゃんを筆頭に、子供たちはみんな素直で可愛い。
純粋に教育の機会を与えられたことが嬉しくてしょうがないし、先生を尊敬してやまない。
「先生は未来に触れることができる」というセリフがちょこちょこ出てきますが、今の教育現場でぜひこの作品を先生にも生徒にも観てほしいと思いました。
今まで教師になりたいと思ったことはないけれど、もっと若い頃にこう言った作品に出会ったら、教職を目指していたんじゃないかなあと思うくらい純粋で美しい映画だと思いました。
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