叡福寺清子

ロンドン・バーニングの叡福寺清子のレビュー・感想・評価

ロンドン・バーニング(2019年製作の映画)
3.2
Based on True Eventsという私が大好物な文字で始まる本作.汚職警官200名とか,その証拠が完全に消失とか,人の命安すぎとか,まんま事実ならロンドンは北九州に負けないくらいに修羅の国やんという感慨しかありませんが,どこまで脚色だったのでしょうか.調べれば多少は判明するでしょうが,生憎今日はとても寒いのでそんな気力は起きませんのおき太くんです.おはようございます.三遊亭呼延灼です.
ロンドン五輪開催に伴う土地投機で一儲けを企んだ悪徳不動産業者カレン氏と因縁深いリアムとショーン兄弟の物語.リアムとショーンの外の人は実際の兄弟であります.これはマメちなので試験には出ません.
注目は悪徳不動産業者カレン氏の極悪非道加減.最近では珍しいんじゃないかと思うほどに徹底した悪党で清々しい思いがいたします.表の顔では慈善活動家として活躍しているのも悪人らしくて素敵でございます.加えて風貌も悪人然していて,強烈なインパクトを与えました.外の人はハリポタのワームテイルで有名らしいですが,私はハリポタを真面目に観たことない(1作目と運動会みたいのだけ観ました)のでよく存じません.
そのカレンさんを頂点に本作に登場する人物の大部分が,程度の差はありますが悪事に手を染めています.私の認識が正しければ無罪な人はリアムさんの元嫁と息子さんとニール・ベケット刑事,そしてフリーのジャーナリストの4人・・・あとは兄弟の父親(すぐ死ぬけど)くらいでしょうか.事実に基づく物語ですので,ロンドンの住人の90%くらいは悪人という認識で間違えございませんな.こりゃテキサス公演だけじゃなくってロンドン公演の話があったとしても断るべきでございましょう.クワバラクワバラ.

物語は巨悪が下っ端の悪人やら市民を食い物にする姿を映し出しますが,時たま窮鼠猫を噛みます.でも結局それもお釈迦様ならぬ巨悪の掌で転がされるにすぎないのだよという世の無常をはかなむ結末で,不幸話が大好物な私には好感なのですが,いかんせん邦題が作品の足を引っ張ります.ロンドンテロを想起させる扇情的なタイトルを付けた責任者は,目覚まし等アラームの音が全て豚の断末魔の叫びに聞こえる呪いにかかればいいのですよ.