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執事の人生のkyokoのレビュー・感想・評価

執事の人生(2018年製作の映画)
3.3
分割されたまま地図上からポーランドという名前が消えていた20世紀のはじめ。ポメラニア地方にはドイツ人、ポーランド人、カシューブ人が暮らしていた。
ロシアとドイツに挟まれ、ただでさえ複雑な歴史を持つポーランド。そこに初めて聞くワード「カシュービア」が加わって、ババアの細胞が減少しつつある脳みそピーンチ!

時は1900年、物語はカシューブ人マリアの命がけの出産から始まる。赤子はマテウシュと名づけられ、ドイツ人貴族クラウスの妻ゲルダに引き取られた。死んだマリアはクラウスのお手つきメイドだったことから、夫の愛人の子どもである可能性が高いにも関わらず、なぜゲルダはマティを引き取ったのか。

ここから秒で1909年に飛んだかと思ったらあっという間に1918年になっていた。気づいたらマティは同じ家で育ったクラウスの娘マリタと恋仲になってた。ざわつくゲルダ。そりゃそうだ。ヘタすりゃ近親相姦だもの。ポーランドの独立で持ってた土地は国に取られて落ちぶれつつある。学費出す余裕ないし、そもそもうちの子じゃないし、明日からおまえ執事な、って言われてイケメン執事誕生。

許されぬ恋と同時進行で、ポーランド独立によってバランスが崩れはじめたドイツ人、ポーランド人、カシューブ人の関係、民族としての誇り、ナチスドイツによる占領、惨殺、終戦、赤軍解放と、んまぁ~詰め込む詰め込む。よくこれを150分でまとめようと思ったもんだ。駆け足どころか全速力。ババアはついていけません。

マリタとの恋愛にしても、育ての親ゲルダへの思いにしても、彼が同じ家の中で育てられた18年間をもう少し丁寧に描いてくれていたら、伝わってくるものもあったと思うんだけどねえ。
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