えいがうるふ

この世界に残されてのえいがうるふのネタバレレビュー・内容・結末

この世界に残されて(2019年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

すみません再投稿です。
映画館での初見の際は体調等の諸事情+そのあまりの静謐な雰囲気に序盤早々寝落ちして夢うつつの記憶しか残らなかったため評価がつけられないまま視聴記録だけ残していたが、仲良しレビュアー(と勝手に思っている)開明獣さんに是非再鑑賞を!と強くお勧めされ改めて見直した結果、本当に良かった。大感謝!

初見時ではその美少女ぶりばかりがやたらと印象に残っていた主演のアビゲール・セーケ。これがデビュー作とは思えないほど、クララの思春期の危うい感じと利発さと繊細さを併せ持った賢い少女ならではの真っ直ぐなキャラクターを実に魅力的に演じていた。今後の活躍に期待。
一方、鬱映画の見過ぎのせいか序盤ではこのおっさん、ロリの変態だったらどうしようと余計な心配をしてしまった自分を殴りたいほどアルドが素晴らしい大人だった。演じたカーロイ・ハイデュクの演技力も申し分ない。特に終盤、思わずその場を離れひっそり一人で嗚咽していただろうアルドが、改めて幸せそうなクララと言葉を交わし涙を堪えるシーンには胸が締め付けられた。
二人がそれぞれの喪失をあえて言葉にせずとも労り合い、今を慈しむ心境に至れたことが何よりだと思った。

ラストはやや唐突にも感じる予定調和なエンディングとは言え、この尺でまとめたのは見事。近頃ラストまで救いのない映画を見ることが多かったせいか、この優しい結末に素直に心が和んだ。例えるなら、荒れた胃に染み渡る丁寧にお出汁をとった豆腐とお葱の味噌汁のような滋味深さ。
たまにはこうした上質で真っ当な栄養補給になる映画も観て心の健全を保たなくては。日頃疑ってばかりの人間の善良さを信じ続けるためにも。


(参考:初見時のレビュー)
珍しく途中で完全に寝落ちしてしまったので単なる鑑賞記録。寝不足でもなかったのに、歯医者帰りでまだ局所麻酔が効いていたせいか?
終始静謐な雰囲気で話が進むなか、クララがアルドのアルバムを見て涙するところまではなんとか覚えているものの、その時点でもうまく物語に入り込めていなかったので、泣いているヒロインの若くして完成された顔立ちが夢のように綺麗だったことしか覚えていない。
評判が良いのでちょっと残念だがなんとなくもう一度観てもまた寝てしまいそうな気がする。