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ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像のSPNminacoのレビュー・感想・評価

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美術商のお祖父ちゃんが、商魂逞しい今どきの孫息子と知られざる名画に最後の大仕事を賭ける。お祖父ちゃんと孫が一枚の絵の謎を追うミステリーかと思ったらそうではなく、孫が言う通り「美術とお金の話」だった。扱う絵画はたっぷりと見られるが、どちらかといえばお金の話だ。
フィンランドの都市もジェントリフィケーションの波が押し寄せ、老舗は衰退。文化は経済に抗えず。お祖父ちゃんと娘にも金銭的な確執があり、世知辛いのは家族も同じ。けれど、署名のない名画は芸術家の無償の奉仕を語りかけ、お祖父ちゃんは初めて見返りなく人のために捧げる選択をする…。
さすが北欧映画、何とも虚しい展開だ。淡々と値踏みする遺品整理で始まり遺品整理で終わるが、あの絵の価値を分かち合うことに一抹の希望が残る。誰のものでもない絵があってもいい。黄金色の柔らかい光を捉えた撮影が印象的。しかし名画を結構雑な感じで持ち歩いてて大丈夫かと思うし、あの画廊のセキュリティが気になった。
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