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ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像のhuaのレビュー・感想・評価

4.0
フィンランドのヘルシンキで美術商を営むお祖父ちゃんと孫が1枚の肖像画をめぐって織りなす物語。

ヘルシンキはいつもどんよりと曇っていて映像が全体的に暗く、ストーリーは静かに進んでいく。
サインのない肖像画の作者が誰なのか、孫のオットーと一緒に探り始める序盤からぐいぐいと引き込まれていった。

職場体験で来ていた最初こそ全く興味がなさそうだったオットーが、のめり込んでいく様子も良かった。

オークション場面ではハラハラドキドキし、一体どう着地するのかと最後までドキドキが止まらなかった。こんな映画は初めてかもしれない。

資金についても違う意味でハラハラした。1万ユーロというと今のレートで約150万円。それくらいなら持っていそうだが、どういうこと?と思い調べたら、フィンランド(おそらく他の北欧の国も)は社会保障がしっかりしているので、日本人の将来のための貯金のような感覚がないらしい。

個人的に美術館は好きだし、オークション会場に実際にいるかのような感覚も味わえ、お祖父ちゃんオラヴィを応援したり、孫はなかなか好感が持てて、娘の気持ちも良く理解でき、憎たらしい敵もいたりして、しっかりと楽しめる映画だった。
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