フィンランドのヘルシンキで美術商を営むお祖父ちゃんと孫が1枚の肖像画をめぐって織りなす物語。
ヘルシンキはいつもどんよりと曇っていて映像が全体的に暗く、ストーリーは静かに進んでいく。
サインのない肖像画の作者が誰なのか、孫のオットーと一緒に探り始める序盤からぐいぐいと引き込まれていった。
職場体験で来ていた最初こそ全く興味がなさそうだったオットーが、のめり込んでいく様子も良かった。
オークション場面ではハラハラドキドキし、一体どう着地するのかと最後までドキドキが止まらなかった。こんな映画は初めてかもしれない。
資金についても違う意味でハラハラした。1万ユーロというと今のレートで約150万円。それくらいなら持っていそうだが、どういうこと?と思い調べたら、フィンランド(おそらく他の北欧の国も)は社会保障がしっかりしているので、日本人の将来のための貯金のような感覚がないらしい。
個人的に美術館は好きだし、オークション会場に実際にいるかのような感覚も味わえ、お祖父ちゃんオラヴィを応援したり、孫はなかなか好感が持てて、娘の気持ちも良く理解でき、憎たらしい敵もいたりして、しっかりと楽しめる映画だった。