今日で88歳のお誕生日を迎えたスウェーデンの名優マックス・フォン・シドー。
祝・米寿!
最近だとスターウォーズ「フォースの覚醒」で、登場早々ショッキングなシーンをこなしてくれましたね。
そんなシドーがイングマール・ベルイマン監督に主役として大抜擢され、以後世界的な俳優としての地位を築くことになった出世作「第七の封印」
イスラム教徒から聖地エルサレムを奪還するため、10年に及ぶ熾烈な遠征を潜り抜けてきた十字軍の騎士アントニウス。
それもこれも、すべては信仰(キリスト教)に起因する「神の栄光」のため。
命からがら疲弊して故郷スウェーデンへの帰路を急ぐも、そこには疫病の流行と神の不在による終末的世界が広がっていた…。
こりゃ聖書に書かれた審判の日も近い!という状況で、
しかも死神に「死」を宣告されることで彼は信仰と人生についての真理を見出だそうと躍起になります。
死神と生死を賭けてチェスをするシーンは有名ですが、
個人的には死神のギコギコシーンがシュールで大好きで、何度観てもあのシルエットが愛しくて吹いちゃいます。
自分も臨終の時はあの死神に迎えに来てほしい。
生きるということは常に「死」と隣り合わせであること。
そしてそれは他意的な信仰によってどうこうできるものではない。
愛によってではなく断罪によって統率された当時のカトリックを痛烈に描写し、気鋭な視点で死生観を、そして一握の救いを捉えたベルイマンの傑作であります。
酒場のシーンではこれほど人間を恐ろしく撮れるものなのか!と膝を打つほどの素晴らしい演出。
そんなシドーが十数年後「エクソシスト」で神父として悪魔と対決することになるとは、なかなか因果なものです。