ペコちゃん

花束みたいな恋をしたのペコちゃんのレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
4.2
切ない映画だった。
ファミレスでかつての2人を思い出させるカップル。あの日の自分達はどこにいってしまったのだろう。絹の涙がこたえた。。。

友達から恋人に切り替わる時の告白、手に触れる、キスをする。あ~ドキドキする、恥ずかしい。絹の積極的な意思表示は好感が持てる。

麦は絹との生活を守るために就職をするが、徐々に身体と心が会社に乗っ取られていく。後輩のように軽く考えることができれば良かったのかも知れないが、真面目さは麦の良いところ。先輩のように彼女にパパ活をさせるようなことはしない責任感ある男である。

「ハードルをまた下げるんだね?」
絹の鋭い質問。そう、そこなんだ。自分が描くイラストを1カット1,000円で約束をしていたところを3カット1,000円で値切られてしまう。納得していないのに妥協してしまう。氣持ちは凄くよくわかるけれど、とても大事なところ。

絹から借りた本を雑に車にほおり投げる。麦の中で優先順位、大切なものが変わってしまった。悲しい。

「3ヶ月セックスしていない彼女に結婚の話をするってどういう氣持ちなんだろう」絹の疑問はもっともで、

麦は最後に言うんだ。「別れたくない。結婚しよう」と。麦にとっての結婚って何なんだろう?形だけのもの?

麦の瑞々しい感性を奪うような現代の資本主義社会システムを恨みがましく思うと同時に大切なものを守るための強い心が欲しいと思った。

2人は最後、見ている場所が変わり別れることを決める。

誰かと一緒に暮らしたり、結婚したりするということは深い部分で共有し合えるものがないと難しいことなんだなとあらためて感じた。