keith中村

花束みたいな恋をしたのkeith中村のレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
5.0
 みなさま、あけましておめでとうございます。
 本年もなにとぞ、よろしくお付き合いください。
 さて、本年のレビュー初めは本作。
 
 世間の評判が高かったんだけど、予告篇を見た時のこっぱずかしさと、何といってもこんなキラキラした題名の映画なんで、今まで観ないでおりました。
 そしたら、あなた、立派な我々サブカルオタク物件じゃないですか!
 そんでもって世評通りの傑作でした。
 
 前半の眩しすぎる展開。
 恋愛映画のこの展開が、たいていの映画ではウンザリしてしまうのですが、本作は何しろそこがサブカル物件ときてるので、「あるある!」「わかるわかる!」と手を叩いて喜びながら観ておりました。
 しかも、現代劇だし音楽は新しいところまでカバーしてるんだけど、書籍がかなり私のような親父接待ラインナップ。
 一時停止を多用して、本棚をまじまじと見ましたが、保坂和志、舞城王太郎、町田康、望月峰太郎あたりは、このカップルの年齢で実際読まれてるのかしら。保坂和志なんて、初期作品がハードカバーでたくさん並んでたけど、古本屋で買ったって設定かな。
 
 映画関連では、押井守本人出演からの「ショーシャンク」の流れが最高です! そうなんだよ。ショーシャンクに罪はないけど、ショーシャンクを推すやつって、こういう奴なんだよ! それを受ける女性(こんなチョイ役に瀧内公美さんじゃないですか!)が、「こりゃきっと『レオン』って言うぞ!」と思ってたら、まさかの変化球で「魔女宅」。菅田くんと同じタイミングで「実写のほう?」って言っちゃったよ。いや、あれは清水崇監督作だし、小芝風花ちゃんのキャリア始点という意味で重要作ではあるんだけどね。
 あ、ところで、みなさん。私の大学の後輩、安田真奈監督が風花ちゃん主演で撮った「TUNAガール」もぜひよろしくです。
 今ならNetflixにありますよ!(←思いっきり宣伝してみた)
 
 架純ちゃんの言う「ほぼうちの本棚じゃん」は、私も言ったことがありますよ。
 もっとも私の場合は、恋人じゃなく、大学の後輩んちの本棚がそれだったけどね。
 
 ちょうど映画のど真ん中から二人の関係が定石どおりに下り坂になっていく。
 ここもやっぱり「あるある!」なんだけれど、同棲→別れを経験したことがあれば、なお刺さりますね。
 おれも、ちょうど同じくらいの年齢のとき、深夜のファミレスで別れ話切り出されたことあるなあ。
 
 んでもって、本作の最も秀逸なのが、このシーンで登場する、「かつての彼ら」。
 本作は、脇役がいちいち豪華なんですが、「かつての彼ら」役が細田佳央太くんと清原果耶ちゃんでしたね。
 そりゃ、あんな「かつて自分たちがそうであった可能性の塊」を見たら号泣しちゃうわな。
 って、観てるこっちも号泣してるんだけどね。
 
 映画としては素晴らしいんだけどさ。麦くん、擦り減らすの早すぎ。
 働き出してすぐ全部消耗しちゃってるんだもの。
 俺なんか、53歳になっても全然サブカル熱冷めてないもんね!
 麦くん、そりゃ駄目だわ!
 
 ちなみに、私の場合、当時飼っていた猫は、ジャンケンすらなく問答無用に元カノが持ってっちゃいましたよ。