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天才ヴァイオリニストと消えた旋律のmiiのレビュー・感想・評価

3.8
天才的なヴァイオリンの素質を持つユダヤ人のドヴィドルは
ロンドンのマーティンの家に預けられ
同い年の二人は 兄弟のように育ちます。

初舞台の直前に 忽然と消えたドヴィドル。
35年経って 彼を探しに出たマーティンは
その真相を知る事になります。

ティム・ロスがNYに降り立って
「海の上のピアニスト」逆ver.の趣きもあると思った。
ヴァイオリンであったり 楽器屋が出てきたり
ラストのあの感じも。

かつて 信仰を捨ててしまったドヴィドルは
「The Song of Names」を聞いた時に
後悔したのでしょう。
信仰を捨てたから 家族は亡くなったのだとも思ったかもしれない。

コンサートでのソロヴァイオリンの音色が 心に沁みます。
それは 弔いの旋律。
このヴァイオリンで生きながらえる事ができた自分は
このヴァイオリンで自分ができる事をしようと
才能と成功よりも 死者の想いを選んだ彼の選択に
畏敬の念を抱かずにはいられない。

幼少期のドヴィドルが 空襲を避けるために避難したシェルターの中で
対抗心を持つ相手ユゼフとヴァイオリン対決をする場面も然り。
たった一度のセッションで 言葉を交わさずとも相手を認める場面があります。

言葉は必要ない音楽の力を感じる作品でもありました。
mii

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