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天才ヴァイオリニストと消えた旋律のmityのレビュー・感想・評価

3.5
突如失踪し、その後何の手掛かりもなかったドヴィドルの行方に僅かな光が差した時、加速していくマーティンの捜索。残された者が理由を知りたくて捜し出そうとすることは理解出来るし、ドヴィドルが失踪したことで負債を被った父ギルバートのことや、ドヴィドルの才能への未練があれば、なおのこと会って確かめて、文句のひとつでも言いたいだろうなと思う。

ただそこには、“知りたくなかったこと”があるかもしれないし、“触れられたくないこと”があるかもしれない。見つけ出すことが必ずしも良い結果だけを招くわけではないと思うと、マーティンとドヴィドルを観ながら思った。

35年前、コンサートを目前にしたドヴィドルに何があったのか。その真相を知った時、急に浮かび上がってきた原題の意味に、何て尊いんだろうと、ちょっと胸がきゅっとなった。人は音楽に想いを託す。だから救われる事がある。その瞬間、音楽のチカラを観た気がしただけに、邦題が残念に思えてしょうがなかった。何故にミステリーっぽさを醸し出すようなタイトルにしたのか・・・その雰囲気につられて観ただけに、余計に内容との乖離を感じてしまったわ。


#148_2021
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