ShinMakita

ファーストラヴのShinMakitaのレビュー・感想・評価

ファーストラヴ(2021年製作の映画)
1.4

大学の美術部教授にして有名な画家である聖山氏が、学内のトイレで刺殺された。犯人として逮捕されたのは娘の女子大生・環菜。就活中の彼女は、入社面接の直後に包丁を購入し、父の大学に出向いてトイレに父親を呼び出し凶行に及んだのだ。反省の弁を全く口にしない環菜を、マスコミは美人サイコパスとして興味本位で書き立てるが、ルポを執筆することになった臨床心理士・真壁由紀は、彼女が殺人に至るまで何らかの精神的トラウマを抱えていたのではと考える。環菜本人との面会、環菜の小児期を知る人々への取材により、由紀は彼女の心に潜む闇と対峙する。それは自分自身が胸に抱える恐怖と同じものだった…

「ファーストラヴ」

以下、「ネタバレの目が怖かったんです」

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これは広義の「レイプ」と「虐待」の話。男には何気にショッキングな内容です。レイプって、服をビリビリに引き裂いて無理やり犯すだけではないんだよ。虐待って、暴力振るったりネグレクトするだけじゃないんだよね。戦慄するのは、昔の俺(いや今の俺でさえ)が知らず知らずに加害者になっているかもって点。女性とベッドインするときは、よくよく相手のことを考えて承諾とってからじゃないといけないな。ま、そんな機会は多分ないけど。

原作未読、ドラマ版も未視聴だから何とも言えないんだけど、この映画単体で観るとストーリーの粗さがいくつかあります。男の視線がトラウマな環菜が、なぜ全国的な目に晒されるアナウンサーになろうとしたのか全く理解できない…というのはその一例。板尾創路のキャラが描かれていないし、実の娘じゃない設定も生かされているとは思えない…ってのも気になるところ。つい笑ってしまうとこも多く、アクリル版の反射を使って環菜と由紀を同化させるベタ演出、女子大生時代の由紀のあまりにあか抜けない感じなど、苦笑ポイントです。

北川景子の泣きヴァリエーションを楽しめるし、中村倫也のやる気なさそうなニヒルさ転じてベッドでは粗暴な態度など、演技面では見所あり。環菜役は「累」のヒロインだった芳根京子。いい芝居してましたね。みんな大好き窪塚洋介は徹頭徹尾穏やかな善人で、なんか不発(笑)。

福田雄一の次に俺が嫌いな監督が堤幸彦。最近よく手掛けるヒューマンミステリー系…「人魚の…」や「望み」に比べたら格落ちは否めない本作ですが、劇場版SPECや真田十勇士よりはマシでございます。
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