えいがうるふ

由宇子の天秤のえいがうるふのネタバレレビュー・内容・結末

由宇子の天秤(2020年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

真相を暴露しようと躍起になるマスコミが本当に真実を報じているとは限らない。
実際その現場では、良心を持つ者ほど正義と大人の事情との板挟みで精神を病んだり、罪悪感に苛まれるのではなかろうか。

そして、何かが既に起こってしまった後で、その真実を明かすことが全ての人々を幸せにするとも限らない。
場合によっては、あまりにも壮絶な真相をあえて有耶無耶にしておくことで、傷ついた被害者や遺族がギリギリのところで救われる、ということもあるのかもしれない。
まして、加害者側が贖罪というより罪の意識に耐えきれず自分が楽になりたいがためにそれを吐き出すことは、果たして善なのだろうか・・。

「空白」と同じく肝心なところの真相が最後まで分からない、非常にストレスフルな展開。
しかし、程度の差こそあれそうした”藪の中”は誰もが人生において少なからず遭遇することで、私達はそのひとつひとつを自分なりの解釈で飲み下し、時に妄想や思い込みや思考停止で無理矢理やり過ごしながら生きていることを改めて思い知らされた気がした。