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エルヴィスのSSDDのレビュー・感想・評価

エルヴィス(2022年製作の映画)
3.7
◼︎概要
世界一売れたソロ・アーティストの半生とそれと共に歩んだ、プロモーターの物語。

◼︎感想(ネタバレなし)
エルヴィスの曲は聴けば知ってるが曲名は覚えてはいないし、どんな人間性かも知らなかった。映画ではエルヴィスをこよなく愛するコスプレ人間がたまに現れて、正直メリケンのヤザワというイメージ像だった。

序盤は彼の音楽ルーツ、業界の登り詰め方、売られ方、カリスマ性などをよくわかる進行で、黒人差別が濃厚な時代。様々なことが現代からでは考えられない世界観で突き進む青年と音楽は、かなり痺れたのだが、まるでマフィア映画のような作りで栄光と衰退を描かれかたは少々疲れる。

なにぶん長く感じてしまう中盤以降は、なぜ彼がビートルズ、クイーンなどのレジェンドバンドとの差を感じるのかを理解できたが、もう少しコンパクトにして欲しかったというのが正直なところ。

トラブルを歌うシーンは痺れたし、最高にカッコよかった。そして彼は唯一無二になる才能はあったが、数奇な人生と言わざるを得ない男だ。









◼︎感想(ネタバレあり)
・序盤の圧倒感
黒人街で育ち、ブラックミュージックとファッションに傾倒し、白人では誰もなし得なかった先進的な独創性のある、歌い方と踊り方をアメリカミュージックシーンにぶち込んだ。

黒人と白人の壁を破壊していくかの如く、政治的な要因に巻き込まれた際の"トラブル"を歌うのには痺れた。まさに誰も真似の出来ない男だったと思う。

・世界的にもっと傾倒する人間がいない理由
やはりワールドツアーができなかったのは大きいのではないだろうか。ビートルズもクイーンも世界を回ってる。
生で観たときのライブの素晴らしさはやはり変え難いし、エルヴィスほどのステージを生で観たらさらに熱狂したであろう。
エルヴィスは自信を足のない鳥に例えたが、その飛ぶカゴの中は世界ではなかった。

・総評
激動の時代、黒人差別が法的に許される時代に活動家でもなく1人の男が揺るがしたのは音楽活動を通した、有色人種のファッション、ミュージック。
間違いなく黒人差別の垣根を破壊する一端を担ったと思えるこの偉大な男は世界に名を知る者がいないと言えるような人物だった。
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