カタパル

秘密の儀式のカタパルのレビュー・感想・評価

秘密の儀式(1968年製作の映画)
3.1
ジョセフ・ロージー監督の心理劇で家族と人間の崩壊を描いた作品です。ただ、凡庸な作品となってしまっているのが非常に残念な作品でもあります。素晴らしい俳優が素晴らしい演技をして、素晴らしい監督が素晴らしいカットを見せる。それなのに凡庸な作品になってしまうこともあるんだから、映画って不思議です。

娘を失った母親レオノーラ(エリザベス・テーラー)、母親を失った娘チェンチ(ミア・ファーロー)。失ったもの同士を補って生きていけるのではないか。そんな希望をいただきつつあったときに現れたチェンチの義父アルバート(ロバート・ミッチェム)。チェンチとアルバートの間には性的関係も示唆されます。しかし、お互い他人同士の三人。この関係はどうなっていくのか……と言う話です。魅力的な設定ですよね。

ジョセフ・ロージー監督の構図は相変わらずビシビシ決まります。構図、移動、構図。モンタージュをつなげるだけでなく、移動しながら構図を変えていく。白黒時代の方がわかりやすかったですけどね。カラーだと情報が多すぎて、カットの素晴らしさがわかりづらくはなっています。

同じ年に『ローズマリーの赤ちゃん』で怪演を見せたミア・ファーローの演技も素晴らしい。大人なんだけど、少女。その危うさ。エリザベス・テーラーも美しいだけでなく、醜さも表現できる。すごいと思います。

素晴らしい監督が素晴らしい俳優で映画を作ったのに、なんでこんなつまらない作品になってしまうんでしょうか。すっごく不思議。まず、テーマを浮かび上がらせるのに失敗してると思うんですよね。テーマが描ききれていないから、単なる雰囲気映画になってしまっている。不思議な雰囲気の映画。ただそれだけ。

人間や家族が壊れていく緊張感がない。

たぶん、テーマは家族と人間の崩壊だったと思うんです。ただ、それを崩壊させるのが何なのか。単なる(娘を失った/母を失った)喪失感ではないはず。それだけが理由だったら義父アルバートは必要ない。アルバートが象徴するのは何なのか?そこがうまく描けてないんですよ。

映画を作るって難しいんだなあ、と思わせる作品でした。