まりぃくりすてぃ

ハチとパルマの物語のまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

ハチとパルマの物語(2020年製作の映画)
3.8
コーリャ「ぼくどうだった?」(☜ロシア語)
マリーリャ&クリーリャ「よかった!」(☜日本語)
マリーリャ「コーリャくん、きみは世界がロシア映画に求めてる主役少年像を百パー叶えてくれたよ」(☜日本語)
コーリャ「ふふっ、オーディションから頑張ったんだもん」(☜ロシア語)
マリーリャ「パイロットのお父さんも、客室乗務員のニーナも、ほかみんなみんな、あったか~くて感じよかったね♡ まるで揚げたての美味しいピロシキみたいに、いい人ばかりだった。ザギトワちゃんも」(☜日本語)
クリーリャ「超絶演技力の犬ちゃんもね!」(☜日本語)
コーリャ「そんなに気に入ってくれたんなら、今度サンクトペテルブルクにでも遊びに来てね」(☜ロシア語)
マリーリャ&クリーリャ「うん、行く行く! 黒パンいっぱい焼いといて!」(☜日本語)

※コーリャクン退席  コレヨリ日本語オンリー

マリーリャ「子供向け映画だから、じつは、心真っ黒な大人のあたしとしては途中まではチョットナーと思わなくもなかった。けど、まっすぐな瞳で観るようになってからは、すごく楽しめて、泣けたよ」
クリーリャ「マリってば、“善意が伝染する” 力技のクライマックスからは泣きっぱなしだったね」
マリーリャ「クリも一緒にね(笑)。それぞれ大さじ一杯以上ずつ涙流したね」
クリーリャ「でも、交響楽の劇伴は常にちょっとうるさかったかもね。それで、これ日露合作史上最大ヒット作(☜ロシアで)らしいんだけど、ハチ公云々の秋田県シークエンス、どうだった? ストーリー的に要った? 要らなかった?」
マリーリャ「要るかどうかはおいて、日露の “糊しろ” が小さめで、粘着力も弱めだから、日本要素の交じりを邪魔にまでは感じなかったよ」
クリーリャ「オフィス文具でいえば、付箋みたいな感じ?」
マリーリャ「そうそう。クリうまいこと言うね。付箋みたいな日本関連のシーン、要らないと思ったら心の中で剥がしていけたし、まあ要るんじゃない?って思ったらそのままくっつけといてもいいし」
クリーリャ「日露合作っていえば、前に『未来への伝言』観たよね」
マリーリャ「ゴルバチョフ時代頃のだっけ? 日ソ合作だね」
クリーリャ「今回の合作と比べてどう?」
マリーリャ「そうそう! この『ハチとパルマの物語』は、飛行機内とか空港とかのシーンがかなり多かったけど、あの『未来への伝言』も特にクライマックスが、ソ連の空港から機内そして日本の空港の大緊迫だったから、……どれぐらい意識してあれに寄せてたのか知らないけど、日露友好映画としてのルーチンをやりきった感じで、ロシア贔屓のあたしとしては、大満足」
クリーリャ「あれって、ポリオ生ワクチン緊急輸入の実話ベースだったね」
マリーリャ「うん。戦後に日本がロシアから受けた最大の恩義、あたしたち日本人は忘れちゃいけないよね。コロナ騒ぎの続いてる今だからこそ、そこのところ話題にしてほしいよ」
クリーリャ「どういう経緯だったっけ?」
マリーリャ「60年に日本で恐ろしいポリオが大流行して、ソ連にしかない生ワクチンがどうしても必要になって、東京の主婦らが立ち上がって運動起こして、日本政府の妨害をはねのけて、東西冷戦中の敵国ソ連に助けてもらったんだよね。ソ連政府内にも反対者がたくさんいたのに、チマコフ博士が『日本の子供たちのためなら、法に逆らってでも送りましょう』って言ってくれて」
クリーリャ「そんな歴史があったんだ? ロシアの人たち、当時から心があったかかったんだね?」
マリーリャ「うん。ずっと経って、東日本大震災の直後もさー、世界フィギュアを開けなくなった日本のために、ロシアが代替開催地に立候補してくれて、たった三週間で何もかも準備して、開会式にはリンクにでっかい日の丸を映して黙祷セレモニーやってくれて、競技時刻もわざわざ日本のゴールデンタイムに合わせてくれてさ、それで涙の優勝果たしたミキティーがリンクでロシア語でお礼の挨拶したんだよね。(フジテレビはそういう厚意を全部無視したらしいけど。)あたしは、マオよりもミキティーファンだったし、ロシアからの愛を忘れないよ」
クリーリャ「いい話ぃ。で、改めて、この『ハチとパルマの物語』はどうだった?」
マリーリャ「そうね、映画ファンの立場からどうのこうのツッこむのは、制作目的からしても筋違いだから、ここは日露友好派のため、犬好きのため、子供たちのための映画ってことで、褒めとくだけでいいんじゃない?」
クリーリャ「でもマリ、さっきから褒めてばっかりいるわりには点数高くないけど?」
マリーリャ「あー、あたし犬が苦手だから」
クリーリャ「えー???(笑)」
マリーリャ「子供ん時、三回も咬まれてるからね。とぼけてるけどクリも覚えてるでしょ?」
クリーリャ「そうだね~。猫に咬まれるのとはまた違う重ぉい痛みなんだよね。にしても、渋谷での子供時代に自分ち以外で犬に三回も咬まれるなんて、ちょっとしたニュース性あるよ?」
マリーリャ「当時はスクランブルに世界中から動画撮りに来る外人さんなんていなかったからね。今でも買い物や遊びで渋谷に里帰りするたんびに『あー、世界中から日本中からご苦労さん。そんなに珍しい眺め?』って思うよ」
クリーリャ「ハチ公については?」
マリーリャ「あー、ハチはさー、今言った理由で犬がずっと怖くて、それもあって昔はハチをやたら大きく感じてたんだよね。それが最近、『あれ? ハチって、見るたびに小さくなってきてない?』って思うんだ」
クリーリャ「だんだん縮む犬? それはマリが大きくなったからじゃない?」
マリーリャ「そうかね~。小六の卒アルの寄せ書きの将来の夢んとこには一応『スッチー』って書いて(☜死語)、できるだけ背が伸びるようにピーナッツバターよくなめたもんだ」
クリーリャ「まあ、あんたの身長なんて誰も興味ないから。にしても、この映画のCAのニーナ、すごい優しくてフェミニンで綺麗だったね」
マリーリャ「うん。古来の一般的なロシア人のイメージは、もはやスケートのヒロインたち(と神保町のカジュアルなロシア料理屋のいつもニコニコしてるロシア女性店員)と今回の甘いニーナのおかげで、だいぶ刷新されたね」
クリーリャ「刷新といえば、宮下公園の屋上のハチ公コンパスだね。あの新ハチは支持者が多いよね♪」
マリーリャ「とりあえず、あたしらの二票が今日入ったね♪」