Ayax

バビロンのAyaxのレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
3.5
「ラ・ラ・ランド」のデイミアン・チャゼル×豪華キャスト(ブラッド・ピット&マーゴット・ロビー)と聞けば、映画に多少興味ある人は行くよねっていう。
サイレント(無声映画)からトーキー(発声映画)に移行していく時代のハリウッドの映画業界の話。
内容はカオス!カオス!!特に冒頭のパーティーは狂乱。目を背けたくなるほど、かなりのク○(排泄物)やゲ○(吐瀉物)まみれで、そういう点で人を選ぶかなと思う。
マーゴット・ロビーの田舎から出てきた教養のない下品な女の演技がすごく良かった。パーティーのシーンではあんな布で隠しただけの服で激しく動いてポロリしないのすごい(別のシーンで意図的なポロリあり)。もともとダンスの経験があるかはわからないけど、あの長尺を一人で踊って間をもたせるパワーとスター性は素晴らしいと思う。アカデミー賞はノミネートされてないのね。
無名の俳優がパーティーで目を留められて、役を得て成り上がったり、銀幕のスターの栄枯盛衰だったり。役者の世界はアメリカンドリームであり水物。
無声映画では声が必要なかったけど、トーキーの時代になると、声が汚かったり、吃音だったりすると急に人気か落ちて仕事がなくなるとか。そりゃそうだけど厳しい世界。
映画のメイキングとはまた違う、映画製作の影にあるドラマを観ている感じ。この年代だからこその極端なエピソードが多々盛り込まれつつ、こういった悲喜こもごもって大なり小なり現代もあるのだろうと思わせるし、私たちが1800円とか払って観ている今日の映画もそういった華やかさや誰かの犠牲の上に成り立ってるんだよなーとしみじみ。それでも作るんだよ!というデイミアン・チャゼルからのメッセージかなと解釈。
いなくなれば代わりはいくらでも現れて何事もなかったように回っていくという点では、俳優でも会社員でも同じだけど、俳優は死んでも映画館でかかればまた蘇るというのがロマンのある特別な仕事だなと思った。そういう意味で、チャドウィック・ボーズマンを映画の中でも死なせてしまったのはやっぱり良くなかったのかなあとか考えてしまったり。
ちなみにいろいろ書いたけど、私の好みではなかったよ!まあまあ長いなと思ったら188分で体感と同じくらいかな。
基本、「ラ・ラ・ランド」っぽさは全然なくて、強いて言うなら一部の曲がぽい。同じ人(ジャスティン・ハーヴィッツさん)だからね。すごい節(ぶし)がある人だなあ。撮影も「ラ・ラ・ランド」の冒頭のハイウェイみたいな長回しのシーンがあったり。
車が行き交う何気ないシーンとか、この数のクラシックカー集めるの大変そうだなとか(もちろん専門の業者はいるんだろうけども)、エキストラがめちゃめちゃいるシーンも多いし、それ以外もとにかくお金かかってるなーと感じる。
トビー・マグワイア、キモくて良かったね。やべー奴って感じで。
冒頭のパーティーのシーンはLAのACE HOTELで撮影されたらしい。機会があれば行ってみたい。
Ayax

Ayax