ナミ

ステップのナミのレビュー・感想・評価

ステップ(2020年製作の映画)
4.4
現在1歳の娘がいる私、開始1分でカレンダー上の「一歳半健診」「予防接種 四種混合 水痘」の文字列だけであっさり泣く。

この映画は「もしも私が今突然夫と娘を残して死んでしまったら」の世界そのもので、あまりにも馴染みのある景色が多くて、登場人物の感情があまりにも具体的に想像できてしまって、あまりにも感情移入してしまって全く客観的に観れなかった(それゆえの高スコアだとも思う)。なんでもないシーンも含めてずっとチョロチョロ泣いてた。

子育てにまつわる何気ないシーンも細部まで丁寧に描かれているし(幼児期はちゃんとキッチンにベビーゲートが付いてたりとか)、山田孝之もちゃんとサラリーマンのおじさんかつ父親に見えて違和感なかった。役作りで少し太ったのかな。

あと、あくまで全編通して健一個人が主軸になっていて、彼の父親としての至らなさを強調するような描写がなかったのもよかった。
「これまで妻に任せっきりだったから何もかもうまくできない」みたいな安易なダメ父親描写がない。ちゃんと真摯に頑張ってるいいパパ。
彼が「やはり父親では役不足なのでは」と落ち込むシーンもあるのだけど、「いやいや!!それはもうしょうがないよ〜〜あんた十分頑張ってるよ〜〜😭」って感じなんだよね…

ともすれば2時間ドラマになってしまいそうな内容だし、当事者に近い立場ゆえリアリティがないとたちまち白けてしまいそうだなぁという不安もあったのだけど、そんな人間の鑑賞にも耐えうる実直な作品だったと思います。


以下ネタバレ含みます↓





立場上あらゆるシーンでズブズブ深読みして、全く描写されていないことまで勝手に想像して辛くなってしまった。
序盤の抱っこ紐でお骨拾うシーンとかまじできつすぎるし、「今から保育園通い始めてるってことは亡くなってからイチから保活したのか…しかも都内で…」とか、もはや身内や友達に不幸が起こったようなレベルで感情移してしまった。

主人公の義両親(亡くなった妻の両親)の置かれた状況がまた本当に切ない。
娘に若くして先立たれただけでも十分すぎるぐらい辛いのに、長男夫婦は子どもができず長年不妊治療をするも結果叶わず治療を終了。
唯一の孫(であり亡き娘の血を引いた子)である美紀はものすごく特別な存在であるはずなのに、自分たちが引き取ることが叶わなくても健一を静かに支え、健一の再婚も(実際そうなったら自分たちとは多かれ少なかれ疎遠になってしまうのに)応援してくれて…どんだけいい人らなん…😭

※終始こんな具合だったので冷静な評価はできません
ナミ

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