ナミ

こちらあみ子のナミのレビュー・感想・評価

こちらあみ子(2022年製作の映画)
3.8
あみ子の挙動が現在3歳の娘のそれに近くて微笑ましい一方で、四六時中一緒にいて責任を負っている親としては「今は3歳だから許せている(そのうち落ち着くことを前提に踏ん張っている)し社会からも許されている」みたいな感覚があるので、「小学校高学年になっても今の感じが続いていたら」と考えると正直かなりしんどい気持ちになってしまった。
あみ子のような子を持つ親(及びきょうだい)の大変さは至るところで耳にするし色々と想像できてしまうので、完全に親の立場で観てしまってしんどかったな…。

家族のしんどさがグサグサ伝わってくる一方で、両親にはもうちょっとあみ子が生きやすい環境を用意してあげてほしかったと思ってしまった…。もっと小さい頃から「変な子」みたいに片付けずに向き合ってたらあそこまで皆不幸にならなかったと思うんだよ…。
(でもこのへんの感覚とか環境(具体例を挙げると療育へのアクセスが整っているかとか)って地方と都心で全然違いそうでもあるし難しいよなぁ)
最後の父親の対応とかもう捨てたも同然だし、それでも泣いたり抵抗したりしないあみ子が悲しかった。
このシーン以外でも、何もわかっていないようで所々何かを察したような表情をする(後半になるにつれそういう場面が増えていく)のが辛かったなぁ。

ラストであみ子はちゃんと現実の世界と向き合う決意をしたようで、希望を感じさせるラストシーンではあったけど実際には彼女の未来にどう希望を見出したらいいのか全然わからない。なんともモヤモヤする終わり方だった…。

尾野真千子はああいう情緒不安定な母親役がめちゃくちゃ似合う。
坊主頭の男子が唯一の救いだった。
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