真鍋新一

われ幻の魚を見たりの真鍋新一のレビュー・感想・評価

われ幻の魚を見たり(1950年製作の映画)
3.2
明治の半ばまで魚がいなかった十和田湖に魚を放流する話という地味な話。開始20分くらいでその目標が達せられてしまうのでどうなるのかと思ったらそこからがすごかった。気がつけば赤ん坊は片山明彦になるわ、大河内傳次郎はじいさんになるわの大河ドラマに。それをナレーションとオーバーラップで淡々と見せていくリズムは意外と現代的。ダイナマイトで魚の乱獲をするカットにミニチュア特撮、部屋の扉を引いて奥に湖が見えるカットにスクリーンプロセス。

『お六櫛』の時も思ったが、伊藤大輔監督の貧乏描写は容赦ない。なんだかんだ言って実話らしいし、最後にはなんとかなるんでしょと思う気持ちが持てなくなるくらいハード。サイレント映画仕込みのテロップ芸も炸裂している。
真鍋新一

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