めっちゃ怪しげなカルト宗教を信仰する両親と暮らす、15歳の少女の葛藤を描く問題作。
何が正しくて何が間違っているのか？
家族の愛とは？
信じるとはどういうことなのか？
映画は芦田愛菜演じる思春期の少女に寄り添い、彼女が感じている様々な疑問を観客に投げかけてくる。
外の社会を知る様になると、信仰への疑問も出てくるが、そもそも両親が宗教にハマったのは、未熟児で病弱だった主人公を治すため。
両親にとっては、元気に育っている自分の存在が信仰が正しいことの証明に他ならないというアイロニー。
少女の揺れ動く感情を、繊細に表現する芦田愛菜が素晴らしい。
しかし、良くも悪くもだと思うが、最近の大森立嗣はジンテーゼを提示しないな。
前作の「MOTHER」もそうだったけど、テーゼとアンチテーゼを描いてそのまま。
観客一人ひとりに委ねるスタンスなのは分かるが、ほのめかす程度でも、もうちょい言いたいこと出してもいいんじゃないかな。
それにしても芦田愛菜はこんないい俳優になったのに、芝居の仕事しなさすぎ。
本人の意向なら仕方ないけど、バラエティのMCとCMだけじゃなく、もう少し映画やドラマで経験積ませればいいのに。
この世代では、やっぱ表現力は抜きん出ているよ。
そして黒木華の演技の振り幅は、やっぱり凄かった。
