ウシュアイア

鹿の王 ユナと約束の旅のウシュアイアのレビュー・感想・評価

鹿の王 ユナと約束の旅(2020年製作の映画)
3.5
ツオルとアカファという二つの民族がおり対立し、アカファは劣勢だったものの、ツオルの人々だけ罹り死に至らしめる黒狼熱(ミッツァル)の流行やヴァン(主人公)の活躍によりアカファが巻き返すことになるものの、アカファは平和的にツオルの支配を受け入れることになる。その10年後、再びミッツァルが流行し始め、ツオルとアカファの民族の対立が再燃していくというお話。


作品の全般的な雰囲気としては、『もののけ姫』に『進撃の巨人』のテイストを少し入れたような感じ、と言ってもなんのこっちゃいという感じだろう。

『もののけ姫』は人間(文明)と自然の対立から共存がテーマになっており、少しネタバレになるが、本作はあくまでも二つの民族の対立からの共存の話である。二つの民族が出てきた場合、一方を滅亡させるという話にはならず、共存という着地点が設定される。共存に向かうきっかけとなるのが、黒狼熱(ミッツァル)という病気で、その治療にあたる医師ホッサルがキーパーソンとなる。

Wikipediaで知ったことだが、原作は本屋大賞と日本医療小説大賞を受賞しており、2つの民族の共存というテーマ以外にも医療というテーマもあるようで、ホッサルがもう一人の主人公となっている。映画版の本作でもホッサルの行動を通じて医療倫理のようなものも示されているものの、2時間という尺の中では深く踏み込めておらず、ホッサルはちょっと気の利くお医者さんという程度で、もう一人の主役にはなりきれていない印象を受けた。それに、ファンタジーの世界で医療といっても、その世界の自然科学法則次第で簡単にチートできちゃうことを考えると説得力が弱かったりする。

映像はさすがProduction IGだけあって申し分ない。ドミネーターのエリミネーターモードのようなエフェクトが出てきていた。そう言えば『PSYCHO-PASS』シリーズもProduction IGだった。
ただし全般的にキャラクターデザインはあまり好みではない。
ウシュアイア

ウシュアイア