にーやん

ひとくずのにーやんのレビュー・感想・評価

ひとくず(2019年製作の映画)
3.9
ーー少女を地獄から救ったのは
人間のくずだったーー


児童虐待から生まれる負の連鎖を真っ向から描いた物語。

虐待シーンや子供の叫び声、更に登場人物たちが下品極まりない言葉で怒鳴り散らす姿。脚本や音楽、映像など全編に渡りじっとり纏わりつくような昭和感…。ちょっとした違和感や居心地の悪さを感じるかもしれません。

これは間違いなく賛否真っ二つ作品かと。


しかし…

このどうしようもない゛ろくでなし゛の無骨な生き方に結局は心を揺さぶられてしまった。不器用な 無償の愛 で少女を救おうとする男にもまた過去があり、負の連鎖を断ち切ろうともがく主人公 カネマサ の姿が不器用過ぎて…なんだか泣けた。

光でも闇でもない規格外の世界観…その複雑な余韻の中に今もなお浸っております。



ネタバレ少しだけあり〼しかも長尺…スイマセン^^;
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プロットがプロットなだけに全編重苦しいのは当たり前なのですが、男の虐待を容認していたバカ女(マリの母親)役の女優さんの存在意義、描き方が個人的にはツボでした。彼女のいきあたりばったりのそのサッパリ感が妙にその場の空気を軽くして彼女のシーンは唯一楽しめた。そんな性格だから虐待を止められなかったってのも頷けるし…上手い。しかも最後にしっかり我が娘に謝罪し抱きしめるシーンがあったのは救われた。けど、彼女こそが 諸悪の根源 なんですけどね…。




何度となく訪れるグッとくる場面で同列で鑑賞していた若めのカップルがもれなく号泣。それも引くくらい。その度「わ、泣けねぇ…」と現実に引き戻される私でしたが最後の最後で涙腺崩壊…。

アンコール上映最終日、滑り込みで鑑賞した最後の回。私のようなお一人様男性もちらほら見掛けましたが、女子高生やOL風の二人組、若いカップルに高齢者夫婦までなんとも幅広い客層。

斜め前で何度も何度も涙を拭っていた女子高生たちの心にはこの作品はどんなふうに届いたのだろう…。
にーやん

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