ジェイD

るろうに剣心 最終章 The BeginningのジェイDのレビュー・感想・評価

4.3
シリーズで一番好きです。シリアスでダークかつ静かで美しい。

前半は幕末アクション、後半は抜刀斎と雪代巴の儚く愛憎が混じるラブストーリーといった構成。全体の色味も黒→青→白と展開していくのも素晴らしい。開始1,2分経たずしてバシャバシャと血が噴き上がる映像には、覚悟はしていたけど驚きました。The Finalの時とは対照的なSE無し×音楽のみの惨殺シーンも見事でした。

また、史実に基づいた長州藩の桂や高杉、新撰組の沖田や近藤らを演じた実力派俳優達が本作をリアルな時代劇として成立させている。女たらしな所を見せつつ掴みどころの無い桂一生や剣心とほぼ互角の激しい刀バトルをする沖田虹郎がすごく良かった。沖田がバトル中吐血したのは肺結核説というところか、たしか鳥羽伏見の戦いにも出られなかったとか。

しかし、緋村剣心もモデルとして河上彦斎がいる中、そんな史実とフィクションの狭間で現れる雪代巴が今回のMVPだと僕は思います!雪女の様な幽霊の様な姿から放たれる透明感がすごい。復讐→愛への気持ちの変わり方も繊細ながら感じることができました。思えば半年以上一緒にいたわけですもんね…。切ない…。

気になったところがあるとすれば前4作でだったら感じなかったであろう黒の北村一輝軍団のファンタジック感。今まで呪術やマシンガンや包帯男とか出てきても感じなかった違和感が何故かここに来てどっと襲ってくる不思議。それと清里さん周り、鳥羽伏見の戦いの映像は過去作使い回しのため一気に役者さんが若く見えてしまう点。ちょっと綺麗にリマスターしてあったかな?でも撮り直しとかしたら熱かったな…と贅沢言ってしまう。


まあでもそれ踏まえても素晴らしい作品です。個人的にはあえて小さめ、古めのスクリーンで観るのも楽しいと思います。味のある映像なので。
ジェイD

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