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17歳の瞳に映る世界のsayanaのレビュー・感想・評価

17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)
3.6
これを観ている時にふと思い出したのが、The 1975の最新作のファーストトラックの歌詞。「I’m sorry if you’re living and you’re 17」(君が今、17歳として生きていたら申し訳ない)」だった。
主人公が無愛想なのも相まってストーリーは淡々と進むけど、終始鈍い痛みのようなものがずっと付き纏った。オータム(またはスカイラー)が抱いていた苦しみは激しくはないものの、まさに妊娠中絶のように、グッと堪えるような鈍い痛みなのかもしれない。
あったとしてもオータムが静かに涙を流すだけで、感情の爆発も励ましや慰めもないのが印象的だった。2人共、常に疲れ切っていて、諦めた顔をしている。夢と希望にあふれた17歳にはとても見えなかった。スカイラーとオータムがあのシーンで小指を繋ぐように、本当に彼女達の人生は脆いんだよ。
ロー対ウェイド判決が覆ってしまったアメリカで17歳として生きる女性にとって、唯一頼れる味方は同じくこの時代を生きる同年代の女性だけなのかも。その味方さえも苦しんでいるけど。フィービー・ブリジャーズが言ってた通り、「自由の国で私たちが自由だったことなんてない」本当にどうか彼女達が心から笑える瞬間が増えますように。
我らがSharon Van Ettenが母親役で主題歌も歌ってます。
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