また、この映画はラウラ、エリサ、バレリア、ピラーという四人の女優についての映画であり、彼女たちのための映画でもある。四人はそれぞれの作品で異なる役を演じることで、全てを一つにまとめる役割を果たす。彼女たちは Piel de Lava と呼ばれる四人組の劇団のメンバーであり、中でもラウラはマティアス・ピニェイロ作品に出演するなど四人の中では比較的知名度もある。ちなみに、ピニェイロのミューズであるアグスティナ・ムニョスも第三部で投げナイフの達人バルバラとして登場している。
ジャン・ルノワール『ピクニック』をモノクロサイレントで現代に完全再現した話。47分。四人の女優は一切登場しない。冒頭でシニャスが明かした通り、始まりを持って終わりを持つ唯一のパートなのだが、そりゃ『ピクニック』を完全再現したら始まりも終わりもあるでしょうと思ってしまう。ちなみに、小舟で男女が遊びに行くシーンは現代らしく(?)複葉機のアクロバット飛行の映像に置き換えられている。そんな感じの現代アレンジは妙に様になっていて、『めまい』を再構築した『The Green Fog』を初めて観たときの"あのシーンがこんなタッチで再現されるのか"という感覚を思い出した。シニャスとしては崇拝するジャン・ルノワールの作品の中でも一番の傑作としている『ピクニック』をシャドウイングすることで、その技術やスタイルを学び取ろうとしたらしい。