果てなき路の作品情報・感想・評価

「果てなき路」に投稿された感想・評価

tapes201

tapes201の感想・評価

4.6
あまり期待せずに観たヘルマン御大2010年作。滅茶苦茶素晴らしかった。

バニー・ポインターが生歌歌ってたり、レディ・イヴ、ミツバチのささやき、第七の封印(それぞれがストーリーの重要な暗示になっているのでは)や、セリフの中で語られる孤独な場所で、ウォーレン・オーツ、サミュエル・フラーなど小ネタを挟みながらも、所謂、『映画内映画』の形をとりながら実際に起きた事件を題材にした映画に、その事件自体が入り込み、しまいには喰い尽くされる、という、かなり、トリッキーな設定を遥かに凌駕する入れ子入れ子に入り組みまくる多重構造の中で、「断絶」では交わることの叶わなかった個々の人々が濃密に重なり溶け合い、カタルシスに向かっていく過程を甘美だけれどある意味透徹なまでに俯瞰で描ききる。

それでいて猛烈にエモーショナル。ヘルマン御大以外の何者でもない。本当にため息。嗚呼。エンドロールの最後に『ローリーへ』との献辞、これは、ローリー・バードのことですよね。もう、号泣。参りました。

“監督にはタブーの質問だ。他人が描いた夢に心奪われた時間を知られるのはしゃくに障る”
正直なところ、本編以上に劇中劇の方に興味が行って、そっちをメインに見たかった。

しかしミツバチのささやきは本当に溜息の出るほど素晴らしい不朽の名作だと思う。
たむ

たむの感想・評価

4.2
映画製作をテーマにすると『8 1/2』や『アメリカの夜』といった名作がすぐ思い付きます。
本作は、『断絶』の監督が自殺してしまった女優さんに捧げた一作で、単純な解決など見出だせない、映画による映画製作と現実と映画作品をめぐる思考する映画です。
映画とはなにかをフィードバックしながら観ると、これほど示唆にとんだ映画はなかなかありません。
『ミツバチのささやき』『第七の封印』を監督と主演女優が観るシーンがありますが、そこに入り込めるかが、本作の評価の分かれ目かもしれません。
番外編・DVD鑑賞。映画館での再上映を強く求む!
〇飛行機墜落で息が止まり、以降は不整脈気味になった。
〇空気感といえばなんとなくわかった気になるが、要は照明? カメラワークと編集のリズム? 実はさっぱりわからないが、これはあの映画に似ていると思っていたら映画内映画で「ミツバチのささやき」が登場。飛行機墜落よりも驚いて、さらに脈がおかしくなった。明暗のバランスや女優の撮り方が似てる!?
〇なぜ裸ではなく下着姿ばかりだったのか。唇ぶるぶるを後半でなぜ見せないのか。ストーリーの謎も気になるけれど、ヒロインを何度も見てそこに確認したい。
モンテ・ヘルマンがショットを撮るんか、と。だが、『断絶』と同じ映画だ。
こちらはローリー・バードに捧げられたノワールで、断片を自分なりに組み合わせながらみなければならないので少し疲れるけれども楽しいは楽しいし、またいつかみてみようという気持ちにさせられる。あの監督ミッチェル・ヘイブン(MH)はヘルマンの分身的な人物なのだろうが、好感度が低くて最高。
jaja

jajaの感想・評価

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冒頭で湖畔に停めたクルマの前に、いきなりセスナ機が眼前の水面に墜落するシーンは、この映画に対する期待を高まらせる。▼しかし、その後はこの期待を上回るような展開はなく、物語はむしろ淡々と進んで行く。▼映画を撮る映画というのは他にも沢山あって、そのどれもがこれはこの映画のシーンなのか、映画の中で撮っている映画のワンシーンなのかが混乱する(こう書いているだけで混乱する)。▼だが、この映画の混乱は他の比ではない。自宅リビングでの鑑賞では、周りでガサガサ動き回る家族が、その混乱に拍車をかけるのだ。あぁ、イラつく。
文句なしの傑作。いわばロジャー・コーマン門下のフェリーニ。しばらくモンテ・ヘルマン祭りが続きそう。

"For Laurie "という映画の献辞は、ヘルマン監督自身が愛した女優ローリー・バード(Laurie Bird)のこと。ヘルマンの代表作『断絶』や『コックファイター』に出演した女の子だけど、やがてアート・ガーファンクルと同棲、25歳で自殺してしまう。実はローリーが3歳のとき、その母親もまた25歳で自殺していたという。

母親の死の影を背負って死んだローリー。そのローリーの死の影を背負うのが、この作品。原題の Road to nowhere は、失われた者を探し求める道のことなのかもしれない。たしかにそんな道をいくら歩んでも、ぼくたちはどこにもたどり着くことがない。あるのはただ道だけ。道の目的地はnowhere なのだ。

あの『断絶』(1971年)あるいは「2レーンのブラックトップ」という映画が「なにも起きないレース」あるいは「もっともスローなレース」を描くロードムーヴィだとすれば、この作品は「作品に至らない撮影」あるいは「もっともスローな撮影」を描くメタシネマということができるのかもしれない〔Metacinema とは P.Bondanella が『8 1/2 』『そして船はゆく』『インテルビスタ』などフェリーニの一連の作品について用いた言葉〕。

それにしてもモンテ・ヘルマンの作品は、不吉なまでに美しい。

同じように死者を題材にした作品でも、たとえばフェリーニの『カビリアの夜』だったら、フェリーニは題材となった死者(カステル・ガンドルフ湖で首なし死体となって発見されたアントニエッタ・ロンゴ)に触発されながら、その鎮魂のためなのだろう、娼婦カビリアには何が起きても生きる希望を失わせることなく、ピエロさながら、涙目に笑顔を浮かばせる。

しかしヘルマンのカメラは違う。あの美しいシャニン・ソサモンの写真へ限りなくスローなズームは、どこにも至ることがない。彼女の閉じられた目ではなく、その半開きの唇へとせまり、今にも動きそうなその美しい口腔が動き出す様を捉えようと見せかけながら、ついには nowhere を映し出すことに成功する。その不吉で、美しいイメージは、どこかあのリンチのローラ・パーマーを超え、なにかドキっとさせる魔術的瞬間を立ち上げる。

そんな瞬間に立ち会えたとき、ぼくは、ああ映画を見てきてよかったなと、つくづく至福を感じちゃうんだよね。
WINSRIVER

WINSRIVERの感想・評価

3.5
飛行機が湖に墜落するのびびった。
複雑な構造だけど意外と親切。
新田畳

新田畳の感想・評価

3.2
衒学的な作風ではあるけれど、劇中に名作映画がちらほら出てきてそこが雰囲気的に良かったです。
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