写真に撮られると魂をもってかれるって迷信は、比較的信じてたほうなんですが、その迷信がアメリカ先住民由来?だとは知らなかった。
「でも秘密がまだある。撮る方も魂を削られるんだ。
魂を奪う覚悟を、魂を削られる覚悟を持って、撮るからには本気で撮れ」
みたいなユージンの言葉に揺さぶられました。
この世にあるものは全てただの物質で、この世で起こることは全てただの物理現象なのに、その一瞬をただ切り取っただけの写真というものに、魂が震えるとはどういうことなのか。人間の魂って何なんだろう。
こっそり忍び込んだ病院で患者を撮る時のユージンの所作と表情と、覚悟のシャッター音に、
ユージンの、そして演じたジョニーの思いを感じずにはいられなくて、鳥肌ものでありました。
LIFE誌のボブが出来上がったユージンの写真を見ながら「あいつ、やりやがった」と涙ぐむシーンは、まるっきり同じ気持ちで観てましたねー。
この映画がもし大ヒットして何かの賞でも獲ることがあったら、ジョニー・デップへ向けた言葉になって欲しい。あいつ、やりやがった!と。
脚色とかフィクション要素満載でよければ、勧善懲悪スカッと痛快ストーリーにすることも、出来なくはないんだろうけど、
あくまで淡々と誠実に、聖人ではない弱さも含めたユージンの人柄と事実に向き合った作品だと思いました。
外国人の演技力なんかわからない僕にはジョニー・デップが名優かどうかなんて評価できないけど、
表情や佇まいや存在感からは、彼が真摯な映画人であることが伝わってきます。