たた

ゴジラ-1.0のたたのネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

いやーよかった!
役者さんの一人一人がキャスティング的な意味も含めて名前も顔も知らん人も含めて、完璧だった。
単純に映画体験として、控えめに言って最高でした!
怪獣プロレス的なエンタメ色どかーんな作風はそれはそれで楽しいけど、それはハリウッドに任せておいて、やはり日本のゴジラはハードなのがしっくりくると思った。

絶望感と無力感をこれでもかと突き付けられるホントウのリアルな恐怖。
そんなゴジラは第一作以降見られたのは60年後シン・ゴジラでようやく!なので、こんなに早く「ホントウに怖いゴジラ」に再会出来るとは思ってなかった。

戦中戦後が舞台だからなあ、登場人物が抱えている時代背景だとか価値観だとか、覚悟の強さなんてのは現代人が敵うわけなくて、こういうのを現代劇として描けないのは誰のせいでもないけど残念というかやるせない気持ち。

ゴジラ映画、というジャンル分けが第一だけど人間ドラマがとにかく強い。
とにかく覚悟が強い。究極の窮地で人を動かすのは損得でも打算でもなく覚悟だ。
自分を憎んで止まない橘さんの心を動かしたのは、紛れもない敷島さんの決死の覚悟だった。
そして船長や学者や小僧や、元軍のお偉いさんぽい艦長さん?や、名も無い船乗り達の、命をかけた決起が、ゴジラという現実には存在しない大厄災との戦いを、現代人にはたどり着けない高みへと導いていく。
それでいて「これは死ぬための戦いじゃない、未来を生きるための戦いだ」の言葉通り、最終作戦では犠牲者を出すことなく、人の死を感動やカタルシスの道具にすることなく描ききって見せたのは本当に素晴らしかった。

ほんとは僕はこの監督さん嫌いなんです。国民的なコンテンツを好き勝手にいじって悦に浸ってるイメージ。
でもこの作品と、コング×ゴジラの監督との対談を見て人となりが垣間見えたので、そんな勝手な偏見はある程度払拭されたんですが、エンドロールの最後で監督名でスクロールを止めるのはやっぱり嫌いです。監督の指示じゃないとしても。
傑作としての称賛も、駄作としての批判も、結果的に矢面になって受けるのは代表者たる監督なんだとしても、モブ役者や雑用レベルのスタッフも含めると数え切れない人間が必死で取り組んで初めて成り立つ映画作品という芸術の責任者であるなら、謙虚さを忘れないで欲しいという思いがあります。
あっ、でも最後の最後にゴジラの足音が迫ってくるエンドは怖かったな…

ところで続編作る余地を残してたけど、続編は不要です。史実から枝分かれしたパラレル世界を描いて無理なく脚本が成り立つのは最初だけです。続きを書くとわけわかんないファンタジーになります。よっぽど上手く書ける見込みがあれば別だけど賛成はしません。
たた

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