イベリー子豚

ディナー・イン・アメリカのイベリー子豚のレビュー・感想・評価

ディナー・イン・アメリカ(2020年製作の映画)
3.6
日本では太古の昔から
「内気で目立たないメガネのイジメられっ子が
アナーキーなイケメン(ミュージシャン)に
見初められ、恋に堕ち、新しい自分に成長する」
という伝説があるようですが……


とりあえず「音楽目当て」での鑑賞はオススメしないです。
エンドロールも途中から無音だったし。
恋愛特化の『トレインスポッティング』の
廉価版みたいなイメージですかね。

少女マンガでは明らかに
「元から超美少女ポテンシャル」で
説得力ゼロのヒロインも
現代にアップデートされると
キャプテン以上にアメリカ大好き、
二重アゴ、5頭身、角野卓造ほうれい線になるようですね。

対する王子様も歩きタバコに
ぺったりモヒカンにヒゲは標準装備で
ドラッグ、アルコール、罵詈雑言に放火魔のオプションまで!!

この我らがヒーローは
とにかく下品で汚くて口が悪すぎる!
うら若き乙女にこの映画をオススメ出来ない原因は
この人です!!
ただ性欲に関しては「誰でも狼」のようで
なんとなく基準があるみたいですね。
マッマのデジャブの正体はBTTFのロレインでした。
そんなに変わってないのねん。


ここまでは予告編通り。
キャラクターは非常に魅力的でスパイシーなんですけど、いかんせんストーリーは……
とりあえず非合法で不衛生なことを
ひたすら80分近く見せられ、感動の歌声が聴けるのは
ほんの少し!

この前半の「やりすぎ反社会的行為祭り」が
そんなに楽しくないんですよね。
『Ted』のようなキャッチーなコミカルさも
『ブリグズビーベア』みたいなセンチメンタルさも
中途半端。
笑いより「なんか痛々しくて見てられない」が
勝っちゃうとこが多くてね……

やっぱ根が小市民なので正当性のない犯罪行為は
そそられない。
「獣姦ファックじゃーーヒャッハー!!」は好きだけど。

他にも全体的にクドいテンションだったり
ペロペロキスしたり、ベン・スティラーが好きそうな演出ばっかり。

それを覆すだけの勢いとエモーショナルが
ラストギグには足りなかったかな~。



最後に、デジタル製品を排除して
時代設定をあやふやにする必要性は
よく分からなかったけど
トータルで言えば
「色々新しいシンデレラストーリー」として
「ナシよりのアリ」じゃないかな、ですね。