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あの頃。のKHのレビュー・感想・評価

あの頃。(2021年製作の映画)
4.3
年間ノルマ60本中の10本目、月5本ペースであればこれにて今月も順調にクリアしました。『あの頃。』見させてもらいました。
このタイトルに『。』が入ってるのはやはりモーニング娘。だからなのでしょうか。

個人的に私用で、ちょっと都内へ行く予定があったので、少し早めに前乗りし、
何を見ようかと物色しておりましたところ、これを見るか、『花束みたいな』を見ようか悩んでおりましたが、これに決めました。
また、友達にハロプロに精通してる子がおりましたのでお誘いしたところ快諾。
ハロプロに関して分からないことが有れば解説してもらおうと言うことで、

新宿はTOHOシネマズに行ってきました。
全くの予備情報なし、松坂桃李が出てることと、松浦亜弥がどーのこーの。くらいの知識を引っ提げての視聴でした。

まずは率直に見終わった後の感想をば、ネタバレなしで述べさせて貰います。




『間違いなく良作。こんなにも刺さる映画は久しぶりです。ラストは大号泣からの大激怒(その理由は後ほど)』



です。主演の松坂桃李はもちろん、他の恋愛研究会のメンバーの演技もピカイチで、殆どアドリブなのかな?と感じさせる演技、特にお気に入りだったのは、芹澤興人さん扮するナカウチの優しいオタクに、なんかこの人俺すごい好き‼︎と感じました。
少し鼻につきましたが、イトウ役のロッチのコカドケンタロウもいい味出してました。

兎にも角にも今の僕には刺さりすぎた映画でした。
是非とも今期お勧めしたい一本です。
きっと間違いないと思います。



と言うことで、ここからはネタバレとまた少しだけなぜこの映画が僕に刺さるのかを述べさせて頂きますので、まだ見てないよって人は、この辺で戻っていただくとして。



この作品は実在する主人公でもある劔樹人のマンガエッセイでもある
『あの頃、男子かしまし物語』をもとに作られた実話で、ハロプロ界隈では比較的有名な話だそうです。
また、作中の時代を考えるに
松浦亜弥の『桃色片想い』から、
石川梨華の卒業、その後数年の話と考えると

おそらく時期的には2002年から、2005.6年あたりの話かなと想像します。


まずこの映画の舞台は大阪市阿倍野区が舞台、主人公松坂桃李演じる劔樹人は、
大学卒業後、就職もせずにバイトをしながらバンドのベーシストをしていたが、
メンバーとの関係に上手くいかずにモヤモヤと過ごしていたところ、
友人から貰った松浦亜弥のPVを見たことにより救われ、
同じハロプロファンとの交流から『ハロプロあべの支部』のイベントへ参加する事となる。

それまで本当に死んだような目をしていた劔が『桃色片想い』を見ながら涙を流して
目に光が復活するシーンは本当に演技力が素晴らしかったです。


またそれからのハロプロあべの支部のメンバーとのやりとりも、ほぼアドリブを思わせるように長回しで、各々が好き勝手に動いている様が、どこか懐かしい感じだったり何を話すわけでもなくただ馬鹿話だけをしている空気感だけでも永遠に見てられます。

というのも、劔はハロプロとの出会いをきっかけに、もう来ると思っていなかった青春を再びこのメンバーと送ることになるのだが、


実は僕も、現在、都内の友達と定期的にバンド活動を通じては朝まで飲んだり遊んだり、また、年に一回は山梨県は河口湖へバンド合宿をしたりと、個人的に『最後の青春、中学二十五年生』みたいなつもりで過ごしております。


また今回都内へ赴いた理由も、バンド界隈の仲間と会う予定でした。

ここからは少し個人的な話なんですが、
実は30人ほどいる僕のバンド界隈の友達の一人が実は今月頭に亡くなってしまいました。

映画を観た次の日は彼の葬儀へ向かうことになっています。
そんな状況で、お前よく前日に映画なんて見るよなと思われれば、まぁ確かに少し不謹慎とも思っております。
が、彼の訃報を聞いた時には、まだ実感が湧かず、またどこか直接この目で見るまではと

なるべく考えないようにしていたと思います。


が、この映画に登場するメンバーの一人でもある仲野太賀扮するコズミンが、
作中終盤のCパート、mixiの日記で健康診断の結果、癌とわかるのですが、

映画を観ていると、亡くなった僕の友達とコズミンが性格的にもなんとなく見た目的にもダブってきて、
終盤はどうしても冷静に作品を見られなくなり涙が止めることが出来ませんでした。

僕が映画を見て大号泣した後、作品の内容をある程度知っていたハロプロ好きの友達に
『お前この内容知ってたん??』と詰め寄ったのは言うまでもなく、
『今このタイミングでこんな作品はアカンやろ‼︎』怒りました。
その友達も涙を流しながら『せやな』と笑っていました。

なんで、友達の葬式の前日にこの手の内容の映画を選んでしまったのかと思うと、
今ではなんとなくこのタイミングしかなかったのかなと、運命みたいなものを感じます。
作中彼らは、病気で入院しているコズミンに対しても普段からの接し方を変えることなく、病院のベッドで眠る彼に、食べる辣油を食べさせようとしていたり、
また彼の病気についてもあべの支部でトークライブをするなど、

第三者から見たら少し不謹慎だと感じるような演出も、僕には亡くなった友達の送り方はそれぞれあるよなと、思います。
また、そんな僕らが出来ることは、彼を忘れないようにずっとこのまま彼がいたこの場所で同じように仲間と飲んだり騒いだりすることなのかなと思いました。

その辺が少し前に見た『家着いてって良いですか?』でやってたオナニーマシーンのイノマーのドキュメンタリーとも少しダブります。

もっと細かく作品のレビューや考察を書こうと思いましたが、もう少し時間が経った時、落ち着いた頃、また見て、その時はここのシーンのこれがとか、冒頭の松坂桃李の歌う
『サルビアの花』の考察や、

また、松浦亜弥役として出たビヨーンズの山﨑夢羽のアイドル松浦亜弥を完璧に演じているあの仕草やあの首の角度の感じが、本物と見間違えるほど完璧な様子や、

また僕自身全く知らなかったですが、重要となる曲『恋ING』ラストでその曲が僕の涙腺を崩壊させにくる仕様。

道重の言葉から引用される『今が一番楽しい』と言うセリフから考える言葉の意味や姿勢。

石川梨華の卒業から見る、メンバーのそれぞれ就職や、上京など、別れ、そして再び音楽の世界へ向かう劔など、
もろもろ語りたいこともまだまだ、本当にまだまだありますが、


今回はこの私情まみれの感想となってしまい申し訳ありません。今の現状はそれを避けては語れなかったので、今回はこの辺にさせて頂きます。

私情の分0.1点足して、この点数とさせていただきますが、
私情を抜いたとしても間違いなく良作と言える一本です。

是非とも劇場にて鑑賞をおすすめします。
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