とんちゃん

泣く子はいねぇがのとんちゃんのレビュー・感想・評価

泣く子はいねぇが(2020年製作の映画)
3.8
「このままじゃムリ」
「いつか限界に」
生まれて間もない赤ん坊の前で妻コトネが夫タスクに告げる。
夫婦にとって、さあこれからだという時に何かがおかしい。
その理由はその直後に起きる事件と関係していた。
そして、その事件後タスクは妻子を置いて東京へ逃げてしまう…

上京先で女の子が「白くま」の事を考えないでと言うシーンがある。これはその事を考えないように意識する事で返って余計に考えてしまう白くま実験の事。地元に置いてきた妻子の事を忘れようとしていたが忘れられる事が出来ない、タスク自身を指していた様にも見えた。

監督・脚本は秋田県出身の佐藤快磨。
今回で初の劇場映画の監督としてデビュー
主人公タスクを演じるのは仲野太賀、その妻コトネ役に吉岡里帆。仲野太賀は何作も観てその実力は周知の程、吉岡里帆は「音量を上げろタコ!」以来二度目。今回は悲愴的な妻を見事に演じ切っている。
タスク母親役の余貴美子がまたいい感じ母親。息子と観る水族館シルエットが良かった。
柳葉敏郎も秋田出身で起用されたのか全く違和感が無く溶け込んでいる笑

タイトルの「泣く子はいねぇが」の子は“ご”と発音。意味は「泣いている子供は居ないか?」
年の暮れになまはげが各家に訪れて大声で叫ぶ秋田県男鹿地方の風習。
「泣く子はいねぇが、悪い子はいねぇが」
子供への教えに見える発言に聞こえるけど、家族や父親に対して道徳的な意味も含まれた風習らしい。
この作品にも通じる様な慣わし

母親の実家が秋田なのでたまに遊びに行っていた。男鹿半島には小さい頃に家族旅行で行った事もある。観光目的のなまはげと一緒に記念撮影しようとするも、なまはげが怖くて妹が泣き止まずそのまま写真になった懐かしい思い出。
ババヘラアイスも食べた。
あれは美味い、もう一度食べたい。
ホント懐かしい。

【Filmarks オンライン試写会で鑑賞】