認知症になったアンソニー目線で物語が進むという情報を事前に入れていたので、冒頭からそれを意識しながら見てしまった。
何にも知らずに見るのと、この大事なポイントを知ってみるのとでは、感じ方に大きな違いがあっただろうなと思う。
思考の迷宮でアンソニーと共に迷って、何が現実かを考えながらみると、もう、おそらくは出口のない現実を突きつけられた感じで、恐ろしくてやるせなくなりました。
施設で看護師にすがりながら「ママに会いたい」と泣く所では、気持ちがよく分かって、たまらなかった。人は何歳になっても母親の無償の愛にすがりたくなる時が確かにあります。
自分が信じるものや出来事が、訳もわからず崩れていく。
その過程を細かく描いていた邦画『明日の記憶』も同時に思い出しました。
屋内の限られた空間で、とてもリアルに撮られていて、実際記憶が混濁して消滅していく過程はあんな感じなんだろうなぁ、と思います。
娘役のオリヴィア・コールマンの好演が良かったです。
幸い身近な人に認知症を患った人がいないけれど、寄り添う家族の負担と精神的な疲労は想像以上だろうなと思いました。
私もこれ以上ボケないように頑張りたいと思います。(笑)